副題に、
「非暴力の闘いに込められたチベット人の心を描く衝撃のドキュメンタリー!」
チベット関連の映画としては、この8月にみた「ダライ・ラマ14世」以来でした。
「ルンタ」とは、「風の馬」という意味だそうで、山間の風の強い所で飛ばす経文を記した紙片のこともルンタと称するようです。
映画は、建築家としてながくチベット人社会に移り住む中原一博さんの姿を追い、また中原さんが案内して、チベット人の思いを我々に伝えるものでした。
特に、中国の圧政、同化政策などにより政治犯として囚われた人々の話を聞いたり、彼らの思いを引き出そうとしていました。
私は、これまで来日されたダライ・ラマ法王の講演を何度か聞き、彼が説く「利他の心」、「慈悲の心」に大きく促されるものがあり、中国によるチベット語廃止などチベット文化を根本から否定する政策に憤りすら感じるものでした。
過去の日本が朝鮮半島を侵略し、朝鮮人の強制徴用、朝鮮人の創氏改名、白い民族服(韓服?)の否定など同化政策を行っていましたが、今まさに中国が過去の日本と同様にチベットの文化を否定し中国への同化を謀っているのです。
ダライ・ラマ法王の写真を掲げたり、「チベットに自由を!」と公共の場で主張すると政治犯として逮捕され、本人がダライ・ラマ法王を否定するまで、棍棒で殴られたり電気ショックを受けたりするそうで、肋骨や足の骨を折ったりする人も多いとのこと。
しかし、そういう苦しみを受けながら、それは「カルマ」だと中国や中国人を恨まない。 そういう運命に自分は生まれたのだと理解しているようで、法王が説く「利他」「慈悲」の心がチベット人の心に根強く浸透しているのものだと分かります。
逆に、政治犯として囚われた人は、中国の官憲に優しくされるより、叩かれた方が闘志が湧いて来るのでいいとも言うのです。
さて、案内役の中原さんは、2009年頃からはじまった、中国へ抗議する焼身自殺の実態を解明する活動も行っていると、映画の中ではこれまで127名が焼身していると述べていましたが、上映後の池谷監督の挨拶ではさらに20数名が焼身し、今までの累計は150名近くになっている由。
彼らは、誰かを傷つけるより、自らが社会の灯明となるため、焼身するのだとのこと。
その崇高な思いはどこから来るものか、中原さん自身も分からないと言います。
リチャード・ギアなどアメリカの有名な俳優たちがチベットを支援しているそうですが、「誰をも傷つけない、利他・慈悲の心」という西欧文明にはないチベット人の崇高さ、気高さ所以なのでしょう。
映画を見て、中原一博さんという、建築家としてNGO代表として、一生をチベット人にささげている日本人の存在に誇りすら感じられるものでした。
池谷薫監督の映画は、「先祖になる」以来でしたが、その前に作られたという「蟻の兵隊」や「延安の娘」なども是非見たいと思いました。
昨今の日本の政治情勢に暗雲たるものがありましたが、中原さんや池谷さんらの人物の存在に少なからず救いが感じられるものです。
上映後終了後、池谷監督のサイン会があり、さらに中原さんがまとめられた著作「チベットの焼身抗議」を購入。
なおロキシーでの上映は10月2日までのようですが、妙高はねうまライン線・高田駅近くの高田世界館では、10月5日〜18日に「ルンタ」を、10月17日〜30日には「ダライ・ラマ14世」の上映を予定しているそうです。
因みに、高田駅を降りて、最初の信号の右側にある団子屋さんが大変美味しい。 高田世界館はまっすぐ進んで商店街の交差点を左折するとまもなく看板が見えて来ます。 昔の映写室があり、映写機も置いてあって、一見の価値のある映画館です。
また、検索していたら、渋谷アップリンクが提供した映画の中に、
「風の馬」
「雪の下の炎」
というチベットを題材としたタイトルを見つけました。
それにしても、長野駅近くにある千石劇場、相生座・ロキシーとも、本当に良い映画を上映してくれます。 なかなかマイナーな映画で観客は少ないのですが、もう少し関心を持ってくれる人が増えてくれることを願っています。
因みに私達が行った、「ルンタ」上映会では、50名前後の観客がいたようでした。
これから見たい映画の紹介
◯イーダ(10月3日)
上映終了後、清泉女子大学芝山先生の講義があるようです。
◯戦場ぬ止み(10月24日〜)
◯沖縄 うりずんの雨(11月7日〜)
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