以前は、発作性頻拍症と言われていたのですが、2年程前から心房細動や心房粗動の疑いがあると、昨年から長野市内にある総合病院の夜間診療で知った循環器の先生が営む病院へ通うようになりました。いつ発生するとも言えない不整脈の存在に不安を感じるとともに、血栓が生じることによって脳梗塞や心筋梗塞になる危険もあるわけです。
この1年半ほど、ワッファリンやブロプレスという、血圧凝固防止剤や血圧降下剤を服用していたのですが、出血しても血液が固まらないなど副作用が多々あり、また先々効能が低下することも考えられ、一生薬で済ますのも難しくなるであろうと、今回、カテテールアブレーションという手術を受けることにしました。
これまで通っている長野市内の医院から紹介状を書いてもらい、年間1000件ものカテテールアブレーションを実施しているという総合病院に先週入院したのでした。
まず入院すると、食道にカメラを入れて、心臓の裏側から写真を撮り、心臓に血栓がないことを確認して翌日の手術が可能かの判断をしました。
夕方には、この手術では著名なT先生が病室に来てくださり、大きな声で「明日は大丈夫だからね!」 と声がけをしてくれましたが、実際に執刀する先生からは90%の成功率でも、発生件数としては大変少ないものの手術による合併症などが起きる可能性があるとマイナス面の説明をされていました。
・脳血栓塞栓症
・心タンポナーデ
・食道迷走神経障害
・大腿静脈血栓症
・肺動脈血栓梗塞症
・横隔膜麻痺
・造影剤アレルギー
・穿刺部内出血
あるものは0.06%、あるものは5%の確率で発生する可能性があるとの話でしたが、血栓による脳梗塞等の発生の恐れを考えたら了解するしかありません。
翌朝病室にて点滴をさし、尿道カテテールを装着して、本人は手術室へ歩いて行きました。
手術は部分麻酔でしたが、手術台に横になって(頭にかぶる物があったよう)間もなく睡魔におそわれ目が覚めた時は手術が終わって最後のカテテールを外している時であったそうです。
つまり、手術中、何が行われていたか本人は全く知らなかった由。
右足の鼠径部に6本の、さらに首の付根から1本のカテテールを挿し込んで、血管(大動脈?)の中を通して心臓まで達し、心臓の中(主に左心房)で余分な電気信号を発生させている部分を探しながら、高周波で焼いていくのです。 焼灼による熱で臓器を傷める恐れがあるため、鼻からは温度計のカテテールを食道へと入れていたとのこと。 これが大きくてきつかったようです。
二人の患者の手術が同時進行で行われ、主たるT先生がディスプレイを見ながら指示していたようでした。
もう一人の方は3時間で病室に戻って来ていましたが、家内は、心房粗動もある可能性があると心臓の他の部位もチェックしていたようで、20箇所以上焼いて4時間近くもかかっていました。
病室に戻って来てからは、カテテールを入れた場所からの出血を防ぐためベルトで体を固定し、足のふくらはぎには血栓を防止するための、筋肉?に刺激を与える用具(ポンプが一定周期でエアー?が送っていた)が巻きつけられていました。(機上のエコノミー症候群に似た症状を防ぐため)
夕方になって先生が来られて、脳梗塞や心筋梗塞の原因になるものを全部取ったからね!と声をかけて下さいました。
そして、夜9時、拘束ベルトなどが外され、歩行訓練がはじまりました。
その頃になって、本人の顔にやっと安堵が蘇ったようです。
翌日は、心電図や血圧測定などの検査をし、トイレも自分の意思で行けるようになったのでだいぶ楽になりました。 そして翌々日の9時、ナースセンターとつながっていた脈拍計も取り去られて退院となり、三泊四日の入院生活は終わりました。
しかし、人間の体には元に戻そうとする働きがあり、不整脈の可能性がなくなったとは言え皆無とはならず、今後の発症も考えられるので少なくとも3ヶ月は様子を見る必要があると、状況によっては(特に慢性となっている方は)2度3度と手術を受けている方が居られるそうですが、まずは一安心ということになりました。 (家内は一過性の症状なので今回の手術で収まる見込みです) 因みに、80歳で3度目のエベレスト登頂を成功させた三浦雄一郎さんにも不整脈があって、このカテテールアブレーション手術を2度も受け、ある時の手術時間は10時間にもなったとのことです。
退院後、服用する薬が増えたこともあって、家内は食欲があまりなく、さりとて薬を飲むためには少しでも食事を取らなければと、まだまだ本調子にはなっていません。
これから一定期間の間、長野の病院で経過状況を精査してもらうと同時に、3ヶ月後には手術を受けた病院での検査が待っています。 半年や1年経たないと服用薬は減少しないでしょう。
下段に掲載したリンク先にも載っていますが、今年8月から手術方法の一部改善があったようで、それまでは患者は部分麻酔だけで、手術中の状況を常に認識できたようですが、家内の場合は患者を寝かせてしまうような仕組みであったらしく、多くは痛みを感じたり、不安を感じることがないそうです。
私が病院の病室に入ったのは30数年ぶりで、昔は薬臭くて看護婦さんもこわい存在でしたが、今は病室は綺麗だし、5人部屋でしたがプライバシーは守られ、看護師さんも丁寧で優しく、ひっきりなしに病人を看てくれていました。 処置の時には、パソコンが載った台をかかえ、作業の度に入力していましたので、患者の今の状況や処置の流れなどが即座に分かるシステムになっているようです。
費用総額は、253万円。 3割負担ですので個人負担は76万円となり、それでも大変な金額でおいそれと支払うことができません。 幸いにも、高額医療費制度という制度があり、事前に限度額適用認定証を入手しておくと、収入に応じた減免がされ、結局10万円ほどの支払いで済みました。
これまで現役時代もリタイアしてからも毎年多額の保険料を支払って来ましたが、そのおかげで実際に病気になっても軽い費用で済んだわけです。 ”数年分の保険料を取り返したネ!”と冗談を言っていましたが、日本の社会保険制度は実に国民のためになっていると思いました。 ただ、保険金額の算定基準、介護保険、後期高齢者医療制度などなど一つ一つ見ていくと問題を多く抱えているでしょう。
今、信濃町にある信越病院の存続や建替えについて、色々な意見や伝聞があるようですが、こういった先進技術を備えた病院のあり方、医者や看護師の働き方などを見て学んで来ることも必要であろうと思いました。(小さな町の病院が同じことをするのは経費面でも到底無理ですが)
・Dr.高橋淳 ー ドクターズガイドから
・不整脈カテテールアブレーション
・不整脈カテテールアブレーション ー ブログ
2 件のコメント:
はんぐろさん、
奥さんの手術、無事に終わられたようで、
ほんとに、よかったですね。回復が順調であるよう祈ります。
makさん、ありがとうございます。
本人はまだ本調子ではないですが、少しずつ気力を取り戻しつつあるようです。
寒さが増す季節にあって、makさんも体調を維持されるのは大変なことだと思いますが、一日一日を大切に、ご自愛されますよう祈ってます。
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