本号の編集後記に書かれているように、今年の野尻湖発掘調査に参加した人員はピーク時の10分の1になってしまったとのこと。 古代へのロマンとか、人類の祖先を訪ねる気持ちが、我々現代人の心に押しなべて消えかかっている証拠なのであろうかと感じる。 野尻の花火も今年からないと聞く。 野尻湖の存在がこのまま低迷してて良いのかと自問する人は多いと思う。
フォーラムの最初に書かれている「弁天島の話」のように、野尻の中でも、弁天島の存在は大変大きいと思う。 2004年夏、宇賀神社大鳥居竣工記念のコンサートが開かれると聞き、、ボーシヤさんが用意してくれた小船で初めて弁天島に渡ったが、あの地に流れる風というか気というか、何か心身に染み渡るものがあると深く感じることができた。 弁天島の存在はそれほど大きく、人々へアピールする信濃町観光の核になろうとも思う。
「野尻湖雑感」に記された、「ウインダミア湖」の姿に倣うことでも良いと思う。
観光船や大型ボートではなく、自然と、ゆっくりリズムを、安易な癒しではなく、魂にうったえるような深淵さをキーにして、野尻湖観光が考えられないかと思う次第である。
以下は、黒姫高原徒然日記に記したもの。
宇賀神社大鳥居竣工記念コンサート
知人から、野尻湖の琵琶島でコンサートがあると紹介され、初めて島に渡ることになった。 信濃町に来て15年が経過したが、野尻湖周辺の喧騒になじめず、初めて観光船乗り場に来て、中勘助が執筆したという琵琶島がこんなに近い所にあると改めて認識した次第であった。
コンサートは、ギタリスト辻幹雄さんの11絃と6絃ギターのソロと、松尾慧さんの篠笛・龍笛・能管とのデュエットである。
今年、世界遺産に登録された熊野古道と熊野三山でイメージされたという「TAKERU」を公開の場で初めて演奏された由。 琵琶島を渡るそよ風とギターの音色が相まって、深遠な世界をかもし出していた。
新しい大鳥居横の湖面野外ステージで演奏されたものだが、舞台と聴衆とが少し離れているのが残念であった。 できれば湖面ではなく、参道途中の神殿手前の階段付近で聞けたら、もっと良かったかなと思った。
で、初めて知ったギタリスト辻幹雄氏は、チェルノブイリ事故後10年に鎮魂コンサートを開いたり、松本・神宮寺の曲を作られるなど、音楽を心から心へ、 魂から魂へと繋いでゆくことを信念に、活動を続けておられると敬服。
会場で買い求めたCDを家に帰り聴くと辻氏の演奏のすばらしさ、人となりを感じ入ることができて、心の充実を得た一日であった。
コンサートが終わって、乗ることがないと思っていた「雅」に初めて乗り、大鳥居前で留まった所で花火が10発ほどか上がった。 例年7月下旬に開催されている野尻湖花火を未だ見ていないのだが、野尻湖の湖底にあるという御霊への鎮魂でもあった。 夏の終わりを告げるような、こんな一瞬の小さな花火にも感じ入ることができた。
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