でもリタイア人生になってから、やはり高名な小説家の作品には触れていた方がいいだろうと、遅まきながら古書店などで作品が目にとまるとなるべく買うようにしています。
今回、読み終えたのは山本周五郎の「樅の木は残った」で、伊達藩のお家騒動を原田甲斐という人物を通して描いたもので、本書以前では原田甲斐を悪人とされていたようですが、本書では甲斐という人物から、「人間としての生き方」や「組織における身の置き方」など教えてくれているようにも思えました。
巻末で、文芸評論家の尾崎秀樹氏が解説をされているのですが、その中に次の行がありました。
政治と民衆の関係にふれて山本周五郎は、「政治と一般庶民とのつながりは、征服者と被征服者との関係から離れることはできない。 政治は必ず庶民を使役し、庶民から奮い、庶民に服従を強要する。 いかなる時代、いかなる国、いかなる人物によっても、政治はつねにそういったものである」と書いたことがあった。(山彦乙女)
今日の日本の政治や行政を見ていると、悲しいかな、山本周五郎のこの言葉は現に生きているわけで、国家権力の強大化(強権化)に伴い一般市民は増税や酷税、社会保障の劣化などで青息吐息状態なのです。
だからといって将来に光明を見出さないのでは、それこそ生きる張り合いありませんので、打破するための策・考えを読書の中から探して行こうと思うものです。
本を読むということは豊かな思考をもたらすものなのですね。
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