午後3時の気温は36.5度、今年一番の暑さのようで、つい数日前、朝は10度台、昼でも25度ほどであったせいでしょうか、特段に暑さを感じています。
さて、19日、権堂商店街の一角にある映画館相生座ロキシーへでかけ、「ゲッベルスと私」という映画を見てきました。
ヒットラーの副官的存在であった宣伝省大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書としてナチス帝国崩壊まで働いた女性ブルンヒルデ・ポムゼルが69年前をひとり語るという形で映画は構成されていました。
インタビュー当時、彼女は103歳であったと、事前の準備はあったでしょうが、しわくちゃになった老婆が昔をよどみなく語る姿に驚きました。 と同時に、ホロコーストなどナチスの犯罪的行為については全く見聞きすることがなかったとのこと。
マイナス要素ははじめから封印していたのかは分かりませんが、オーストリアの監督が半年をかけて交渉し、映画作成に至ったとのこと。
淡々とした語りの中で、当時のアーカイブ映像なども入れ、観客に彼女の話だけでなく、あの時代を考えさせるような作りになっていると思いました。
映画を見終えてから、日本への映画配給をされた、サニーフィルムの有田浩介さんが日本に持ってきた経緯などを話され、有田さんも彼女が真実を話しているかわからず、1度、2度と見返し、3度目で、彼女の語りに嘘や真があるかはわからないが、それを観客に考えさせるように映画は作られていると思ったとのこと。
(先行試写会の時、監督へのインタビューがあったようですー7分ほど)
観客からの質問にも有田さんは誠実に応えていたし、また、日本の戦後と照らし合わせるような質問もありましたが、そこに言及すると、この映画が意図していることがぼやけてしまうと思ったのでしょう、話題の方向をうまく変えていました。
映画の最後で、彼女は、「神はいない、あるとすれば悪魔だけ。 そして正義なども存在しない」と言ってました。 その言葉だけで、彼女の心に秘めたものが何であったか、伝わって来るように感じました。
映画の最後に流れるクレジットの中に、スティーブン・スピールバーグの名前がよく出てきていると思ったら、スピールバーグは自費でホロコースト博物館を作って、過去の映像などをデジタル化して保存し公開しているとのことで、その映像が本映画にも活用されている由。 彼がユダヤ系であるからかも知れませんが、大金を投じてアーカイブを残しているって、アメリカの映画人は社会というか世界に貢献していますね。
彼女は、2017年1月に106歳で亡くなったそうです。
この映画を配給された、有田浩介さんという人物を知って、彼はまだ30歳台の由、日本にも、良い仕事をされている若者が存在するのだと、ちょっと心豊かになって、相生座をあとにしました。(この映画は相生座では8月31日まで上映)
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