先日、長野に出て、韓国映画の「茲山魚譜(チャ・サン・オ・ボ)」を見て来ました。
場所は権堂商店街にある「相生座ロキシー」。 コロナ禍もあるのでしょう、またイトーヨーカドーが閉店し、上層階を減らし6月には綿半が入るべく工事が行われており、通行人が少なく寂しい商店街になっていました。
日本と同様に朝鮮半島でも西欧の天主教(キリスト教)が盛んに布教され、その教えが王朝政治と相容れないものであったため、布教禁止令発布とともに信者に対する弾圧が行われたそうです。
1800年代、チョン(丁)3兄弟もそろって天主教に改宗したが、弟は処刑に、末弟は流刑、兄のヤクチョン(若銓)も黒山島(フクサンド)に流された。
ヤクチョンは、島の漁師である張昌大(チャン・チャンデ)が向学心に燃えた人物であると認め、書物を提供すると同時に、張が採る魚介類の種別などを整理し、事典として認めた。
しかし、向学心に燃えていた張は、丁の気持ちに反し、科挙に合格し両班の地位になれば、自らが平等な社会を築けると思うものの、実際に両班に養子に入り権勢を持ったら、現実は庶民から搾取しているのが王朝であり両班であることを知って、全てを捨てて黒山島に帰るのであった。
しかし、そこにはかつての師である丁は亡くなっていたのである。
最初からモノトーン画面で、カラーでない所に観客を往時に引き込んでしまう手法に素晴らしさを感じました。 カラー画面になるのは最後の黒山島をズームアウトになる時だけでした。
この映画は、1800年代に実際に存在し、異教として迫害された人物をモチーフに、フィクションを加え作成された由。 金薫著「黒山(フクサン)」を参考にしたようで、インチョンに住む戸田郁子さんが日本語訳をされて日本でも出版されています。
戸田さんはインチョンで画廊を開くと同時に、かつての日本が遺していった日本家屋の再建や存続に奔走されている。
本書は2年前に出版され、家内はすでに読んでいたが、私はその存在すら覚えておらず、この映画を見て、フィクションであろうとも当時の様相を確認してみようと読みだしたのです。
さて、済州島には、スペインの巡礼路を真似た「オルレ」というハイキングコースがあります。 私が十数年前に行った時は交通が不便で韓国の知人が同道してくれたので、どうにか歩くことができましたが、その11番目か12番目の西帰浦に近いオルレで白い大きな教会に出会いました。
メモリアルホールという表示を見て、何かなと探索した所、1800年台に韓国で最初に神父になった金大建(キムデガン?)が上海にむけ出港したものの、当地で難破し王朝の知る所となって処刑されたそうです。
ミュージアムの建物は当時乗った船の形に似せているようです。
韓ドラの時代劇によく登場する刑具の数々。
刑場を撮影した写真もありました。
金神父が乗ったと思われる、再建された木造船がありました。