昨年、熊本の黒川温泉でハンセン病元患者の宿泊を断ったという事件は、テレビや新聞で大きく取り上げられたが、今回この事件についての意見(糾弾?)メールがホテルのホームページに公開されているとYahooなどで知った。
早速当該ページに飛び、投書された方の文面とこれに返信した秘書室長という立場の方のメールを読んでみた。 双方のやり取りの経緯を十分に知る立場にはないが、こういう内容をそっくり掲載することには何となく頷けない気持ちである。
なぜならば、一個人と企業に職を置く者とでは、在る位置は同じでなく、力関係で大きな違いがあるということである。 個人は、何の後ろ盾も保証もなく、いい意味での正義感から意見を発信しているのである。
それに対し企業は営業に影響はあるものの、働く職員自身には直接の痛手はない。 しかも、往々にして、会社側(の人物)は、自分の正当性を述べるだけに終始するからである。 この場合も、当のホテル側の言い分を読むと、会社を事件の当事者としてではなく、傍観者的な立場におき、会社の対応の正当性をその他多数に求めるという意向が見え見えだと感じられた。
以前、東芝のビデオレコーダーの修理に関して誠意のない会社を糾弾すべく、その対応内容をHPに公開された方がいたが、一時ニュースになるだけで結末がどうなったか知る術もなく、結局個人にとっても会社にとっても、このような論争は何も産まないということだけが伝わったであろう。
誰でもがインターネットで多種多様な情報を知ることができる時代にあって、企業は経営者であれ、現場であれ小さなトラブルでも誠実に対応しないと大きな問題になるということ。 安易なその場しのぎの弁明では嘘の上塗りになりかねないということである。 いわゆる説明責任。
状況により顧客の法外な要求と上司の指示にはさまれ、その軋轢に担当者は苦慮することが多いのであろうが、最初から歯車がかみ合うように誠実に対応することが大事なのである。
先日、信濃町観光協会の掲示板にもスキー場係員の対応についてのクレームが掲載されていたが、行き違いはいつでもあるもの。 速やかに誠意をもって対応することが一番大事。 しかし、卑屈になる必要は全くない。
本題の、当初の意見メールを送ったという若干20歳という若者が居候しているページで、掲載されている主張を読んでみた。 ある時は左翼的で、またある時は右翼的な過激な意見ではあるがヒューマンな心に満ちている人物と感じた。
内容によっては相容れないことも多々あるが、今の時代できちっと見る目を持っていることは頼もしい。 出来れば、その果敢な目を磨き、社会に貢献できるような我が道を切り開いてほしいものだ。 我々が彼と同じような年頃に、お茶の水駅付近で権力の象徴である機動隊に火炎瓶や石を投げ付けた学生を見た、往時の思いにも通じるものがある。
(旧徒然日記から転記)
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