なお、一茶記念館の企画展「一茶のふるさとを愛した作家-岡野薫子-」は、4月22日にはじまり、7月3日(日)が最終日となっている。 より多くの人に見てもらいたい。
自然のなかの時間
自然のなかの時間は豊かである。
自分が自分であることを忘れ、まわりのなかにとけこむことができるから。
私自身が小さくなって消えてしまうと、まわりのものたちが、いろいろなことを語りかけてくる。 草や木や風や鳥や、さまざまな動物たち。 小さな虫たちまでも・・・・・・。
その声に耳をかたむけていると、時間はいつもよりたっぷりと、ゆっくりとながれ、私の心といったりきたりしはじめる。
この上ない幸せに心が満たされるのは、こんな時。 ともに生きていることの喜びが、からだのなかをかけめぐる。
遠い子どものころの思い出が、ゆっくりと起き上がってくる。 そうして、今も私のなかにある子どもの心と一つになり、これまでの長い時間がかさなって、数数の物語がつむぎだされていく。
自然のなかで過ごす時間は、私たちを生き生きとさせてくれる。 そこには、絶え間ない変化と、思わず目をみはる不思議さ、新しい発見が、いつもある。
だれもが同じだけ持っている今の時間。 まるで、同じバスに乗りあわせたような、なつかしい気もち。
そうして、乗っているのは人だけではない。 自然のなかの時間が、こんなにも豊かななのは、そのためであると思う。
岡野薫子
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