我々の学生時代には、マルクス経済に対抗するサムエルソンの近代経済学を学び、南北問題の解決というのが大きなテーマであった。 今思うと政治も経済も二者拮抗状態を解決しようという、非常に単純なものであったように思う。 しかし、現代の国際政治や経済の舞台は半世紀の間に数倍も複雑になってきたと云える。
その複雑さが、更に混迷の坩堝に落ちるような事件が一昨日起きてしまった。 パレスチナの過激集団ハマスの創設者を、イスラエル軍が銃撃したというニュースは、ニューヨークの9.11に匹敵する事件であろう。
当事者のイスラエルは、当然の行動だと云うし、アメリカもこの事件を容認しているが、そんな単純な事件ではない。 これをパレスチナから見れば重大な犯罪行為であるからだ。
スペインの3.11と同様に、今後もこのような悲惨な事件が繰り返されるであろう。 アメリカによるイラク侵攻理由がどんどん不透明になる中、ブッシュの不正義な行動に同調し派兵しているスペインやポーランドまで騙されたと認識し始めて来ている。 今後さらに混迷を深め国際間の緊張が更に増大していく中で単純な米国追従策ではない、日本としての明確な立場をきちん表明しないと、日本国内にも混乱を招くことになろう。
アイルランドのIRAもそうだが、地域紛争を単なる部族争いや宗教戦争と簡単に言ってはならないと思う。 人は誰でも美味しい物を食べたいし、いい家に住みたいし、安全な生活を過ごしたいと思うもので、生き物としての自然な摂理なのである。 誰だって搾取されれば怒りもし、取り戻そうとし、対抗策として武力闘争に出るのは必然なのだ。 IRAが長年の戦闘の停止を宣言したのは、イギリスによる搾取経済から脱却して、国内経済が豊かになり国際的地位も上昇した結果ではないだろうか。
豊かなイスラエル人が居住地を増やし、パレスチナ人が貧民窟に押しやられば、不満が爆発するのは当然である。 アウシュビッツで未曾有の辛酸を舐めたユダヤ人は、逆にパレスチナ人に対し同じことをやっているだけと理解するのが自然である。
こういったことを考えた時、四半世紀以上前に問題になった南北間の経済格差が未だもって存在していると容易に理解できるし、そういう視点に立った国際協力や支援を行うことが大事だと思う。 マルクスレーニン主義はとうに終わったのである。 形を変えた帝国(=大国=植民地)主義を繰り返すのは止めようではないか。
単に自衛隊がイラクに行って、アメリカ軍がつぶした道路や橋の造成することが、国際協力でないことは少し考えれば誰でも分かることなのだ。 物質的に、そして精神的な安全が保証されれば、誰でも握手を求めてくるのだという単純な発想が、解決への糸口になるのではないだろうか。 そんな思考経路を政治家には持ってもらいたい。
(旧徒然日記から転記)
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