韓国の自然哲学者であり「
生命平和運動 」の活動家でもある
ファン・デグォン(黄大権) さんの映画「
Life is Peace 」の
上映会と講演会が全国各地 で行われると聞き、たまたまスケジュールが合ったので、会場となっていた横浜市戸塚区の
浄土真宗東本願寺派・善了寺 (JR戸塚駅から旧東海道方向へ徒歩5分ほど)へ出かけて来ました。
昨年完成したらしい本堂の壁面は茅でしょうかストローを斜めに刺したような作り。
会は、明治学院大学教授であり、環境活動家でもおられる
辻信一 さんがコーディネイトされていて、最初の1時間は、大学の辻ゼミに所属されている学生さん達の質問にファン・デグォンさんが答えるもので、事前に映画を見、あるいはファン・デグォンの著作を読んでおられたのでしょう、的確でうなづける内容の質問が出されていました。
たぶん20歳前後の学生さんでしょう、社会に対する汎い見識を持っていて、きな臭いというか不正義が蔓延る日本社会にあって、弱いかもしれないけども希望が感じられる1時間でした。
そして、
善了寺 の本堂に移って、成田住職の挨拶と平和法要。
住職の、宗教は「ご利益宗教」であってはならず、どんな時にでも「安らぎ」「安念」を与えるものでなければならない、という主旨の話に含蓄を感じるものでした。 そして法要は、賛美歌のような、心地よいお経でした。
あとで知ったのですが、お寺では、若者による「
カフェ・デラ・テラ 」という活動もされていて(デラ=大地の意)、色々なイベントを開いているそうで、今回も、自然食品による手作りのキッシュなどなど、ワインやビールまで用意されていました。
活動には当然お金がかかるわけで、こういう場所にはいわゆるカンパ箱が用意されているものですが、こちらでは「
恩送り 」と記された箱が置いてありました。
次の機会のために「
恩を送る 」。 すごく良い響きですね。
東本願寺派寺院は、過去の戦争協力に対する反省として、平和活動を盛んに展開されていて、平和行進の際にもしばしばお寺さんが協力してくれました。
浄土真宗東本願寺派・善了寺 さんもその一隅におられるんですね。
因みに、12月16日には、黒姫の赤鬼?である、
CWニコル さんの講演会がこちらであるそうです。 詳細は後日アナウンスされるとのこと、「
善了寺 」さん、もしくは「
カフェ・デラ・テラ 」のFacebookに載るそうです。
いい心持ちにさせて下さった、成田住職の読経ののち、ファン・デグォン(黄大権)さんの映画「Life is Peace with 辻信一」が始まりました。
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ファンさんは、アメリカ留学で帰国した際に、身に覚えのないスパイ容疑で拘束され13年間も刑務所に。 大変な葛藤の中で、何故野草に心を寄せるようになったか、生命平和運動にかかわるようになったかを映像の中で、そして講演で述べているのでした。
映像の中にあった生命平和村(マウル)は今はないとのこと。 法律的に不具合があったとかで、作り直しのための時間が必要の由。 また、原発は将来の人々に残す負の資産だと、その存在にノーという気持ちはあるものの、イエス側に対峙したりしていては進展がない。 互いに話ができる関係を作り上げなければと、実に実践的な方でした。
Youtubeには、他にもファンさんの講演がアップされています。
*対談:ファン・デグォンx高坂勝のダウンシートトーク
VIDEO
*2011冬至キャンドルナイト☆@戸塚・善了寺
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上映後の講演を含め、ファンさんが自ら得た人生哲学で、述べる言葉の一つ一つに重みが感じられました。 通訳としてコーディネーターとして今回のツアーに同道されている
キム・スヒャン さんの通訳もよどみがなく、よく分かるものでした。 キム・スヒャンさんのマルシェ「
カフェ・スッカラ 」はソウルの何処にあるのだろう? 行ってみたい!(弘大入口駅近くの麻浦区西橋洞327-9らしい、次回のソウル行きで訪ねてみよう)
9時、講演を終えて、著作などを購入。
2004年に出版された「
野草手紙 独房の小さな窓から 」は絶版になっており古本でも見つかりませんでしたが、出版社を変えて今回再販されたと、出来上がったばかりの著作、題名も「
野草の手紙 」を手にすることができました。
そして何度も映像を見たいし、気持ちのある人に見せたいとDVDも購入。
辻先生の新刊で、ガンジーの言葉を題名にされた由。
こちらは図書館に頼んであった旧版「野草手紙」を借りて来ました。
あとがきや推薦のことばなどが新旧で異なっています。 内容はたぶん同じなのでしょう。
旧版はNHK出版ということで、著者紹介では「生態共同体活動家」としていましたが、新版では「生命平和運動活動家」となっており、新版の方が著者の意向にあったものに出来上がっているように思われました。
信濃町には、自然農法にこだわっている方が居られますので、著作の紹介やDVDの上映など、ファンさんの願いを伝えて行きたいなと思ってます。
今回の講演会まで、ファン・デグォンさんの存在を知らなかったのですが、実は、我々夫婦は7年前に韓国でお会いしていたのでした。
2009年、韓国と日本の若者が一緒になって韓国を巡礼するという、非戦の願いをこめたWalk9という企画があり、我々年配者の参加も可能ということで加わりました。
当時は、民主党政権下で鳩山さんの元、日韓関係が良くなるのではという期待もあって、本当に良い巡礼が出来たのでした。 その後、鳩山さん小沢さんを追い出した野田政権は総崩れで、結局アメリカの意向に沿った、偏狭な安倍政権を生み出してしまったのでした。
宿泊の確保、食糧の調達など、生命平和活動の仲間たちに随分と助けられ、3ヶ月の旅をやり通すことができました。
「生命平和」活動に参画している若者の結婚式にて。
韓国のフォークシンガー(息子さんもオカリナやピアノ演奏)と談笑中。
「生命平和運動」のシンボル。
巡礼の際、「韓国の福岡正信」さんと言われる方(ハンオンシック先生)にお会いしました。 雑草を抜かず、雑草の間に種をまいて野菜を育て、化学肥料は一切使わない自然農法を行っていました。
体の変調は「食べ過ぎ」から来る、食べなければ体自身が持つ治癒能力で正常になると、大事なことは5つで、食事、排泄、睡眠、仕事、喜びだと仰っていました。 朝食は体に負担を与えるため毒で、体温が上がるに伴い、昼から食事をとった方が良いとのこと。
ファンさんも、野草で体をつくり、薬は一切飲んでいないとのことで、共通するものがここにもありました。
スーパーなどで買った野菜は化学肥料で育てられていますが、そういう野菜は早晩腐ります。 しかし、自然農法によるものは腐らずに萎むだけです。
福岡正信さんや木村秋則さんなど、日本には立派な先駆者がおられるのに、倣う人はごくわずかで、政治家はTPPなどで薬づけの食糧を海外からさらに輸入しようとしています。 韓国の方が自然農法を実践されている人たちが多いし、有機野菜や無肥料野菜などを求める消費者が実に多いようです。
韓国巡礼に加わった日本の若者達は、こういう方達から学び、農業をはじめたり、地方議会に転身して社会を変えようとしています。 それは「かたつむり」のようなゆっくりとした歩みですし、ファンさんが言われるように地球の将来には暗雲が立ち込めてはいますが、希望が全くないわけではありません。
人生の半分以上を過ごしてしまった我々ですが、次の世代がよくなるような助力をして行きたいという思いを持って、ファン・デグォンさんの「Life is Peace with 辻信一」上映会と講演会から帰ってきました。