ブックオフで見つけた、神戸元気村代表山田和尚著「いのちの力をつかまえろ」を読み終えた。
早朝、神戸で大地震が発生したのは1995年1月17日。 大変なことが起きたと、出勤後も会社の会議室でテレビに釘付けになってしまったことを昨日のように覚えている。
生まれてこのかた経験したことのない惨状が、日々伝わってくる中で、家内は居たたまれないと、2月に入ってからリュックと寝袋を持って、長田区に食事の世話をすると一週間あまり出かけた。 勤めのある自分として出来ることは笑顔で送ることしかなかった。
そんな中で、地震発生直後に埼玉から一人神戸に入り、火災で少女が焼死する場面を目のあたりにしたことをきっかけに、生き残った人々を助けようと立ち上がった人がいたのである。 それが、この本の作者である山田和尚(明)氏であった。
神戸元気村という名称は耳にしていたものの、こんなに純粋な心を持ち、行動力のある人物がいたことを知り、大変な感銘を受けたのである。
山田氏は、旅行ガイドやカヌイストを職業とする中で自然とのかかわりに大きく心を動かし、オゾン層を守るためのフロン回収運動を全国の市町村に向け行ってきた。 そして、その運動の成果が出始めた時に大地震が起きたのである。 ご家族の理解と応援もあったのであろう、ただちに神戸に飛んだのであった。
復興が進む中で、5年を越え、その役割を終えたのであろうか、神戸元気村は2年程前に解散したが、山田氏はニューヨークの911問題についての真相を伝えるべく全国を現在は回っているという。(詳細はオープンジャパンのページで)
氏に一貫しているのは、自然の大切さ、人の命の大切さ、地球の生命の大切さであろう。
この本の中で書かれている「静けさに学べ」というフレーズに感じ入った。
「人間には静けさに戻る場所が必要です。 それから私は(静けさに学べ)と、事あるごとに口にするようになり、スタディ・トウ・ビー・クワイエット....静けさのなかで、水と風と光のなかで、自分のなかに眠る本当の心の声を聞いてほしい。 地球の声に耳を傾けてほしい。 そして、原始の脳を開いて、いのちの声に触れてほしい。(Study to be quiet)
信濃町では昨年から役場が主体となって町の活性化のためいくつかのプロジェクトチームを組成し、新しい運動を始めようとしている。 その手始めなのか、観光客を呼ぶ目玉として「癒し」をあげている。
これには、観光会社の安っぽいキャッチフレーズの受け売りをしているようで、何かしっくり来ないように感じている。 色々な業界で随分と前から「癒し」をテーマにしており、今更という感もあるし、所謂流行廃り(はやりすたり)で早々に飽きられるかもしれない。
今年の8月に、野尻湖の琵琶島でギターリスト辻幹雄氏の演奏を聴いたが、深淵とした宇賀神社の境内であのような演奏を堪能し、野尻湖の湖底に眠る古の人々を想い、そういう人々の歴史の中に自分の存在が感じられたら、それこそ自己免疫力を高める「癒し」そのものではないかと想う。 演奏を終え、「雅」などという文明の器を使わず、余韻を残しながらボートに乗ってゆっくり岸に戻ってくるなどというイベントがあったら素晴らしいと思う。
山田氏の「静けさに学べ」というような、もっと生命体としての根源から始まったコンセプトの方がもっと強く訴えることができるし、永続きもするであろう。 根源志向、真実志向が大事だ。
目先の売り上げ増を期待して、ありきたりのテーマを決めてもどれほどの効果があるのか、門外漢の身であるものの気になって仕方がないテーマなのである。
(旧徒然日記から転記)
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