篠原さんは、大学卒業後、農林水産省に入省し、退官後に衆議院議員選挙に出馬し、現在は3期目である由。 本書を読んで、官僚の中にもまともな人がいるのだと、官僚や政治家に対する印象が180度変わりました。 ご本人は、増税については肯定しているものの、TPPや原発については真っ向から反対されており、党首の野田とは見識も姿勢も全く異なる政治家であると思われました。
3.11以降の省庁の動きや政治家の対応などを著者がつぶさに見てきて、何がまずかったのかを整理し、今後の生きる姿勢や政治家としての理念をどのように持つべきか書にまとめられたのでしょう。
チェルノブイリの惨禍25周年に招待されていたのに、菅直人は地震や原発対策が忙しいと出席せず、日本政府としての感謝と解決への姿勢を世界へ訴える絶好のチャンスを失ったそうで、政治力量の無さを嘆いておられます。
また、「功を焦る野田政権、細野原発相の楽観的収束発言」にも厳しく批判しています。
そして、原発対策に対して、世界では見識のある人に任す流れができているのに、日本では相変わらず「ムラ社会が少数意見を排除する」態勢が続き、一向に改まらずないまま、小出さんや広瀬さんのような真っ当な意見が無視されているのです。
本書の行間から気になった箇所を上げてみました。
・「 このことを文科省や官邸は知っているだろうか。 私は疑問に思う。 ソ連は自由が制限され、人権も無視された冷たい共産国家だと言われてきたが、そのソ連のほうが子供の命や人権を重視していたと言わざるを得ない。 日本は何と冷酷非情な国になってしまったのか、嘆息するばかりである」
・「将来に禍根を残す子供の被曝」 、 「今度は逆に菅政権の原発対応担当者も、十数年後に刑事責任を問われることになるかもしれない。 皮肉なことである。 ところが、このアナロジー(類似性)に気付いている人は少ない。」
・「仮の町」の建設は東電と政府の責務 、こだわり過ぎる除染と遅れる人の健康検査
・隠蔽体質は共産主義国家ソ連も民主主義国家日本も共通
・嘘が逆に国民の不信を拡大 ~ 素人の枝野官房長官や西山英彦審議官の例
・世界への説明の下手な日本
・現場に赴くソ連の原発専門家、どこにいつのかわからない日本の原発学者
・チェルノブイリと違うと言い訳していた原子力ムラ
・非常事態を想定したが、訓練もしない日本
・世界は地震地帯を避けて原発立地
・想定外は想定を無視しただけ
・平井東北電力副社長の眼力に救われた女川原発
・日本の恥部の一つ原発労働
・脱原発は世界の潮流
・メルケル首相の英断、率直な原発廃止演説
・恥ずかしい日本の原発輸出
今だもって、原発被災地住民の救済がままならず、福島原発の原子炉の保全対策も不透明な状況で、問題点を多く抱えている大飯原発を再開させようと、野田はしているようですが、本書を読んでくると、どういう思考によって、そのような決断が出来るのか不思議でなりません。 総理大臣の職にある者が、原発事故から何も学んでいないんですね。
官僚の言いなりか、はたまた将来に禍根を残すかもしれないという思慮する能力がないのか、実に政治の頂点に立つ人物であるとは到底思えません。 即刻退陣させ、しかも総選挙で国民の信を問うべきです。
今の民主党政権の執行部にいる面々は、前任の菅直人を含め国民を蔑ろにしているという点で、それこそ戦犯に等しいと言えます。
こちらは篠原さんのブログです。
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