松本市浅間温泉の神宮寺の高橋住職は、先の大戦で無くなった兵士達の遺骨蒐集などをご自分で行うなど、「人のこころやいのち」について精力的に活動されている方である。
寺院の場所がなかなか寄れる所でないので、未だ訪ねたことはないが、寺で発行している季刊誌「僧伽」は購読している。
今日の毎日新聞には、この神宮寺で丸木夫妻の「原爆の図」が展示されていると報道。
戦後60年が節目なのか分からないが、今年はいやに戦後が喧伝されているように思う。 過去の歴史に対し色々な意見はあるが、やはり事実を直視する必要はあるし、今という時点ではなく、平和思想もなく情報も知識もない時代に立って考えることが大事だと思う。
人は誰でも、自分の欠点や汚点、短所などは隠したいもの。 しかし、過去に起きた事実を現在生きる人間によって隠蔽したり書き換えたりしては決してならない。
先日、エノラゲイの報道の中で、アメリカの殆どの学生が、広島への原爆投下は戦争を終了させるためには有効な手段であったと言っていたが、広島の惨状を伝える写真を見たら、驚き、言葉を失い、悲しい表情をし、どのように理解すべきか戸惑っていた。
この春、短い韓国旅行をしたのであるが、見学の先々で日本軍侵略に触れる説明はあるし、公園の記念碑などにも抗日運動のことが多く描かれていた。 その場に立つと、地元民の視線も矢のように感じられ、居たたまれないような、どうしようもない想いに苛まれてしまった。
靖国神社をはじめ、先の戦争を正当化しようとする人、書籍、組織等々沢山あるが、侵略の対象となった中国や韓国にあるであろう、博物館など先の大戦を伝える場に立って、我々の先輩達が何をして来たか、彼らも我々も、一人一人の市民にとってどうであったか、もう一度考え直す必要があろうと思う。
一人一人の"こころ"に思い至る時、安易な判断や理解はできないはずだ。 少なくとも、我々の子孫が再び同じ"悲しみ"を味わうような過ちを、今生きている我々は決して繰り返してはならない。
Don't Fake!
原爆:丸木夫妻の作「原爆の図」展示--松本・神宮寺で恒例「いのちの伝承」 /長野本堂に展示されている「原爆の図」の第3部「水」=松本市浅間温泉の神宮寺で 松本市浅間温泉の神宮寺で、広島、長崎で被爆し亡くなった人を追悼する恒例の「いのちの伝承」プログラムが始まった。水墨画家の丸木位里(いり)、油彩画家の俊(とし)夫妻が共同制作した連作「原爆の図」が展示され、多くの人が訪れている。
「原爆の図」展示は高橋卓志住職(56)が98年に始めた企画で、今年で8回目。今回は全15部ある作品のうち、被爆した人々が水を求めてさまよう姿を描いた第3部の「水」と、主婦が始めた原水爆禁止を求める署名活動を表した第10部の「署名」が展示されている。反戦美術として丸木夫妻の作品は広く知られるが、夫妻の作品を展示する丸木美術館(埼玉県東松山市)の入館者数は年々減っているという。高橋住職は「社会は平和ボケしている。不条理な死を迎えなければならなかった人に思いをはせてほしい」と話す。
「原爆の図」展示は7日までの午前9時~午後5時。5日午後6時半からは、パーカッション奏者の長屋和哉さんとモンゴル僧による法要コンサートが開催される。いずれも入場無料で、コンサートは要予約。問い合わせは同寺(電話0263・46・1611)へ。【反橋希美】
毎日新聞 2005年8月5日
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