一昨日観た映画の2本目が、「NAKBA(大惨事)」。
この映画については、昨年12月にもここに記したが、いよいよ今月22日から公開されているものであった。
イスラエルが建国された1948年、70万人以上のパレスチナ人が難民となった。
動乱の中東の核心にあるNAKBA。隠され続けた歴史が、
廃墟と化し、地図から消えていく村々の徹底的な取材によって、いま姿を現す。
製作者の、広河隆一さんは大学卒業後イスラエルのキブツで生活したとのこと。 キブツというのは、農業生産を中心とした原始生活共同体組織で、1960年代の日本の学生が一種の桃源郷のように夢に描いた共同体ではなかったかと思う。 確か日本にも、全財産を共同体に寄付し、一緒に住み共同作業の中で農業生産をする組織があった。
広河さんは、キブツで生活する中で、忽然と消滅してしまったパレスチナ人の村を知ったらしく、そういう中から報道写真にかかわるようになったらしい。
映画は、イスラエル建国の中で、パレスチナ人民の村が焼き払われ離散したと、その実態をあきらかにしようとするユダヤ人学者や殺戮に加わった兵士、離散した家族、掃討活動に反意を示したユダヤ人などなどを登場させ、色々な立場の証言で構成されているものであった。
現在、パレスチナ社会は混迷を極めているが、その起点となっているのがイスラエル建国時の400以上の数にわたる村々の壊滅活動であったわけだ。
それは、イスラエルから見れば、全国民の半数以上がパレスチナ人民である状態を危惧し、その一掃を図ることで、ユダヤ人の生活基盤を確保しようとしたものであろう。
この映画では、イスラエルの国家や軍隊が、一掃作戦を何故行ったのかまでは言及しておらず、状況を述べているに過ぎない。 ユダヤ人にとっての負の部分を明らかにするのは、更なる争いの元になるからであろう。
ナチスドイツ=ドイツ人でないと同様に、全てのユダヤ人がパレスチナ人民を敵としているわけではないが、ナチスドイツのホロコーストに苦しめられたユダヤ人国家は、パレスチナ人民に対してホロコーストを行って来たと言える。
大量破壊兵器の一掃のためだとブッシュがはじめたイラクへの侵略と同様に、我々日本人はあまりにも中東の状況を知らなさすぎると思った。 よくイスラム原理主義が悪のように喧伝されているが、実際はこの映画が示すように、一部為政者による侵略や殺戮、よってもたらされた貧困などにより地域紛争が起きていると理解した方が妥当と思える。
映画館で、レバノンに住むパレスチナ難民の遺児を救済する「パレスチナの子供の里親運動」というパンフレットいただいて来たので、その一部をここに残そう。
なお、この映画は英語版、フランス語版があり、既にフランスでは2月から公開されている由。 また本日(28日)23時15分NHK-BS1に広河さんが出演するらしい。
そして関連したサイトへのリンクは次の通り。
◎NAKBAのサイト
◎広河隆一通信
◎パレスチナの子供の里親運動
◎デイズジャパン
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