物に満足し、心が満たされないクリスマス・シーズンほど意味がないと思うのだが、今日は、クリスマスにふさわしい音楽を紹介したい。
画像を見たとおり、ANUNA(アヌーナ)というグループのWINTER SONGSというアルバムである。
ANUNA(アヌーナ)は、アイルランドの混声合唱団で、このアルバムでは英語、ゲール語、ラテン語などのクリスマス曲を歌っているのだが、どれも素晴らしいハーモニーで、静かな中に心を豊かにしてくれる曲ばかりある。 「きよしこの夜」などは、余りにポピュラーで聞くに堪えなくなっているのだが、ここで歌われている歌声はいい。
雪がしんしんと降る中、暖炉の火にあたりながら、何気に物思う情景にぴったり合うアルバムだと思う。
先日、書いた、信濃村伝道所のような、雪景色の中の質素な教会を思い巡らして聞くのもいいだろう。
収録曲のうち、The Coventry Carol 「コヴェントリー・キャロル」は、コヴェントリー聖史劇に依拠する歌で、古い記述は1392年まで遡る由。 幼いキリストへの子守歌という設定と罪もない子供たちの虐殺という内容が対照をなす、見も凍る内容の詞だ、と説明がある。
イラクの戦禍の中で子供達が殺されたり、アフリカなど飢餓に苦しむ地域でやせ細っている子供達を見ると、この世の正義とは何かと自問せざるを得なくなる。 静かな中にも、そういうことを思い出させてくれる曲である。
そして、Pie Jesu 「慈悲深きイエスよ」は、北アイルランドの紛争で亡くなった人々を追悼して書かれた曲だとのこと。
「天に栄光、地に平和」 「天」を仏や霊魂、生きとし生けるもの全てに置き換えてもいいかもしれない。 人としての栄光や平和、心の平安を考える時節が、クリスマスなのである。 そして、それはキリスト教信者であるかどうかということではなく、人類の普遍的な命題だと思う。
なお、本アルバムの発売元は、㈱プランクトン http://plankton.co.jp
本アルバムに添付された説明の一部を残そう。
古代アイルランドの音楽を現代に蘇えらせたい。 アヌーナは、ダブリン在住の若き作曲家、マイケル・マクダリンのそんな熱意から、1987年に立ち上げられた混声合唱団である。ご存知のようにアイルランド人の祖先は、紀元前のヨーロッパで隆盛を極めたケルト人。 彼らは、芸術面にも優れた才能を発揮し、独自の美術、神話、精神世界といったものを構築していった。 しかし、文字を持たない民族だったため、記録というものが限られている。 それもあって幻の民などと呼ばれている。
そのケルト人がローマ軍に追われるなか、辿りつ着いたのがアイルランドだった。 その歴史は、紀元前まで遡るが、それから彼らは、長い時間をかけながら、北海道とほぼ同じ面積の小さな島に独自の文化を築いていった。
その文化は、途中イギリスの侵略により、全面否定され、古来のゲール語ではなく、英語を強要された。 そういう歴史的悲劇も少なからず影響しているだろう。 古代の音楽も、ほとんど消滅状態にあった。 それをマイケルは、熱心に発掘作業を続け、たっぷり時間をかけながら、ほとんど前例のない、混声合唱団で古代の聖歌を歌うという、アヌーナの基礎固めを行っていった。
マイケルがプロジェクトを立ち上げた当初は、.....(以下、略)
2 件のコメント:
はんぐろさん、投稿どうもありがとうございました。何だかお手数をおかけしてしまったようで恐縮です。恐縮ついでに、投稿欄のこちらHomeへのリンクに誤記があったようでHomeアイコンからのリンクが切れておりましたので、僭越ながら私がレスで訂正紹介しました。もし不都合があるようでしたらお知らせください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
��ANUNAのWINTER SONGS、Amazonで見て早速注文してしまいました。ただ、カバー写真はそのままに、アルバム名のみ"Christmas Songs"になっており、これぞ仰せの商魂と苦笑ものでしたが。
早速、注文されたのですか? たびたび恐縮です。 でも、同好の士が増えるのは、嬉しい限りです。
今見たら、アマゾンの方が輸入版なので値段が安いですね。 本来はChristmas Songsというタイトルだと思います。 日本では、クリスマスと名づけると販売時期が限られ、24日過ぎると全く売れなくなると、Winter Songsとつけたのではないかと思います。
逆に、欧米人にとってはキリスト教に関わりがなくても、クリスマスシーズンは、日本の正月のように大事なシーズンなのですね。
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