信濃町の一茶記念館で時々講演をされている原子朗さんの書道展の案内が届いたと先日記しましたが、先週東京銀座の会場へと足を運びました。 と言っても全くの門外漢では作品を味わうことはできません。 以前、知り合いの書家の書展で思うままに感想を述べればいいと言われたことがありましたが、素人が気楽に評するというのは実におこがましいものです。 一時、書道教室へ通い会津八一の書が好きだという家内は、相応の見方を持っているようです。
作品を購入することはとてもできず、2006年に出版されたという原さんの詩集だけを買いました。
その中に「山の冬」という作品があります。 副題に「わが山居は黒姫と妙高のあわいに位置する」と記していることから、山は「黒姫山」か「妙高山」を述べているのでしょう。
ランプを忘れてはいけない
パンとめっぽううまい山葡萄酒をつめた
ボトルを袋につめて
きょうも雪中に獲物をさがしにゆく
ランプを忘れてはいけない
小鳥のしぐさのように小首をかしげて
あぶらの量(かさ)をたしかめる
それが習慣になっている
ランプを忘れてはいけない
五時をまわればガスがたちこめ
山は白い闇にとざされる
そして獲物もなく今夜も氷った闇のなかをかえってくる
(後段 略)
山間暮らしの装いがどことなく伝わってくる詩だと感じられました。 「書」も「詩」も感じたこと、思ったことをそのまま素直に表せばいいのだなと感じられる詩集でした。
再び、一茶記念館で、原子朗さんの元気な含蓄のあるお話をうかがいたいものです。
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