C.W.ニコル氏の著作「魂のレッスン - ぼくとモーガン先生の日々」を読んだ。 ニコルさんの著作は失礼であるが稚拙な部分もあって、これまで多くを読んではおらず、時折(古)書店で見つけると買い求めているのだが、本書を読んで久しぶりに爽やかな思いがした。
本書の主人公である祐介という少年が登校拒否を繰り返す中で、イギリス赴任の父親と報道関連の仕事をする母親は一計を案じ、少年を祖父母が暮らす郷里での生活を勧める。 その郷里とは当然黒姫だと思うのだが、祐介は、奥さんを亡くして愛犬と暮らすモーガンさんと知り合い、自然との関わりに目覚めて行く。 捕まえた熊を放す話や、川の改修工事のこと、森林伐採や産業廃棄物の違法投棄など、今まさに黒姫で起きていることや過去に起きたことなどがテーマやモチーフにされていると思える。 モーガンさんは当然ニコルさんをモデルにしているのであろうが、登場人物の何人かは実際に黒姫に住むあの人をモデルにしているのではと思えたりして楽しい。
祐介がイギリスへ留学し、さらにケンブリッジ大学へと進むのだが、そんな間にモーガンさんは亡くなる。 モーガンさんは自分の想いを十分に継いでくれた祐介に住んでいた建物や土地を遺すのだが、老境に入りつつあるニコルさんの想いがここに描かれているようにも思えてしまった。 的確な表現が見つからないが、中学から高校にかけて成長していく若者に、生きることの意味や自然との関わりなどを含め、本書は考えるヒントを与えてくれるではないかと思った。 信濃町の中学校など、できれば推薦図書のような形で置かれていたら嬉しい。
祐介がモーガンさんに英会話を習う場面があったり、海外の人々との交流、さらには英文があちこちで出てきたと思ったら、本書はNHKラジオ新基礎英語のテキストに連載されたものを1冊にまとめられたと巻末に記されていた。
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