黒姫に住まいを構えてからお付き合いをさせていただいている荒瀬原（柴津）の称名寺へはことあるごとに訪ねているのだが、今春映画製作のための撮影が行われていると聞いていた。 その映画が完成したのだと知り観なければと会場へ急いだのであった。 「信州・戦争展」は２０回目だとのこと、関係者の熱意に頭が下がる思いであった。
実行委員会会長の挨拶の後に上映されたのが、「夕焼け小焼けで －石の鐘のこだまは－」と題されたドキュメンタリー映画であった。 信濃町・柴津にある称名寺の鐘楼には梵鐘の代わりに巨石がぶら下がっている。 先の大戦で大砲や鉄砲の材料にすると鐘を無理やり供出させられ、そのままでは鐘楼の屋根が飛んでしまうと巨石をぶら下げ、今日に至っているものである。
この石の鐘をテーマに非戦を考えようと、鐘楼を中心に称名寺住職の佐々木さんと音楽家の狭間さんの姿を交互に追っている映像であった。 佐々木さんが小学生の頃、供出された鐘が去って行く寂しさを思い出しながら語り、真の平和が来ない限り、ここには鐘を吊り下げたくないと言う。 交通事故で半身不随となった狭間さんが、「一度戦争になったら身体障害者は防空壕の蓋にしかなれないと、ある障害者から云われた」と言っておられた言葉が重く圧し掛かって来た。
お二人の、そのような悲しみを持たなくて良い社会作りをしなければと思いを新たにする映像である。
上映の後、製作に関わった長野市定専寺住職である松嶌澄雄さんが「仏教者と戦争」と題して講演をされた。 先の大戦では、人の命を救うはずの仏教者・仏教寺院が率先して戦争に協力したと、その反省から長野市念仏者９条の会を組織し、その事務局長に就いておられるとのこと。 松嶌さんはご自分の思いの限りを述べたいと思っておられたようで、色々な話があちこちに飛び回っていたが、法名と戒名、善光寺の日本忠霊堂、無言館の大谷家画、水平社などなど、なるほどと合点が行く話ばかりであった。
本映画の製作にあたったスコブル社のトップページに石の梵鐘が下がった鐘楼の写真が掲載されているが、これをクリックすると写真と共に映画の概要を説明しており、下段に本映画のＤＶＤを購入する案内が載っている。（２０１３年現在サイトの内容は変わっている）
この映像が全国に広まることを切に願うものであると同時に、信濃町の財産がまた増えたように思うのだが、町民の心は如何に？
☆日本国憲法９条から
☆石の鐘が吊り下げられた鐘楼
☆石の鐘
☆石の鐘を見る佐々木さんと狭間さん
☆鐘楼を見上げる
☆狭間さんと佐々木さん
☆鐘楼
☆梵鐘応召（中野のお寺の写真？）
☆石の鐘を語る佐々木さん
☆報恩講
☆報恩講で戦争を語る住職の佐々木さん
☆一本の鉛筆があったなら
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