
「100歳の美しい脳 - アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち」(原題:Aging with Grace)という本を読んだ。
著者は、デヴィッド・スノウドンというアメリカの疫学・神経学者。 アルツハイマー病の原因や予防、治療といった分野はまだ十分に解明されていないらしいのだが、誕生から死まで人の一生を見渡し・分析し、アルツハイマー病予防の糸口を見つけたいと、著者は現在ノートルダム教育修道女会の修道女を対象に定期的な検査を基に研究を行っているとのこと。 ナン(尼)・スタディと名付けられたこの研究は1990年から始まって現在も続けられている。 修道女が対象となったのは、生活様式が統一されており、病気や健康に関係する要因を正しく比較することが可能だからとのこと。 喫煙せず、独身、仕事も収入も同じ、受ける医療の違いも少なく、住宅や食事の心配はなく、貧困とか医療の欠如といった、データの意味をあいまいにしてしまう要因が一般人と比べると格段に少ないということが理由となっている。
この会の修道女は入会(誓願)時、それまでの自分の半生を記し、仕事や病気などの経歴がきめ細かく残され、どのような要素がアルツハイマー病発症の要因になっているかの調査が多面的に行うことができるそうだ。 そのために毎年定期的に身体機能や精神機能の検査を行い、その症状の変化を記録していく。 その検査は、一定時間10個の単語を見て記憶し、それを思い出させて言わせるというものや年月日や大統領の名を聞くものなど。
そして、最後に死亡した時には献脳し、生存時の記録と実際の脳の損傷具合や神経原線維変化などを比較するそうだ。 すでに600名以上の修道女がこの調査に参加し、献脳された方も200名を越えているらしい。 しかし、この調査や献脳は強制ではなく、あくまでも修道女個々の意思に委ねられているとのこと。
脳以外の病気で亡くなりアルツハイマー病にかかっていない人の脳は1000g以上の重さで、1200gという重さの人もいるらしい。 逆にアルツハイマー病が進行した人の脳は900gもしくはそれ以下。
本書の前半で書かれているが、本会の修道女は学士や修士が多く、先生として教壇に立っていたと、その教育レベルの高低差がアルツハイマー病に関係があるかなと思ったが実際にはそうではないらしい。 結局は、何かの梗塞が要因となって発症する例が多く、具体的には脳卒中や心臓病が引き金になるとのこと。 そういう意味では食習慣とか適度な運動が大事なのであろう。
厚労省が音頭をとっている我が国のメタボ対策は、製薬会社や医療機関、保健・保険制度などを含めたご都合主義に基づいていると思われるから、その意図を素直に受け入れられないが、日々成人病予防を視点に置いた生活を過ごさなければいけないと、本書を読んで思った。 健康で元気に長生きしたいというのは万民の希であろうから。
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