山口県の上関町に中国電力が原子力発電所の建設を計画し、地元住民は生活の糧である田ノ浦が汚染され漁民が生きていけなくなると30年という長きにわたって反対運動を続けている。 その反対運動のひとこまを映画にした「ミツバチの羽音と地球の回転」が今春公開され、私も6月に観に出かけ監督の鎌仲さんのお話もうかがって来た。
田ノ浦は、瀬戸内海の入口に位置した海洋生物の豊富な地域で、少し南下すると関サバ関アジで知られている佐賀関や佐田岬がある場所である。 原子力発電は空気を汚さないクリーンなエネルギーだと電力会社(政府も)は盛んに宣伝しているが、発電には多量の冷却水が必要で、海洋に廃棄される温水で付近の海洋温度は10度近くも上昇してしまうらしい。 当然生態系が変わってしまうというより、これまで生きていた海産物が死滅するであろうと、素人でも容易に考えられる。
さて、生物多様性条約会議COP10(こちらはGreenTV Japan)が18日から末日にかけて名古屋で開催され、地球上のすべての命のつながりを大事にしていこうと、その方策を探る会議であるらしい。 しかし、日本国内にある原発50数基から排出される温められた冷却水のため、日本列島沿岸の生態系を著しく損傷しており近海での漁業が成り立たなくなっていると聞く。 そしてその原発はさらに増加の一途をたどっているのであって、魚が獲れなくなるばかりでなく、冷却水や煙突から出る煙などに含まれる有害な放射性物質の影響で陸も海も、人も汚染され続けていくのである。
COP10では生物を大事にしろと言いながら、生物が生きにくい環境を作っているのが、原発を含めた今の日本政府の政策であり企業の活動なのである。 それこそ矛盾のひとこと。 我々の先祖が残してくれた自然を壊し、枯渇した資源の、そして多量の放射性物質のゴミの日本列島を次の世に残して行こうとしているのが今の姿なのである。 そのうち日本列島は核ゴミの島になるのではないかと憂慮されてしまう。
さて、本題にもどるが、祝島島民の会blogに、中国電力が原発施設工事から発生した汚水であろうか、田ノ浦の海に違法に垂れ流していたという映像が載っていた。 建設業者といえども、それは中国電力そのものであろう。 このように原発施設が出来る前から海を汚しているのである。 原発が出来たらどれだけ汚すことになろうか。 今年4月、中国電力島根原発で点検もれが多発していたが、そもそも中国電力に核施設を管理する能力が全くないのであって、そんな企業が上関にさらに原発を作ること自体が危険極まる行為であると言える。
原子力発電は使用後の核燃料の保管管理まで含めると、大変な経費のかかる発電であると同時に、放射能の危険レベルが下がるまで向こう500年であろうか1千年であろうか、その間我々日本人は国土を汚染するかもしれない危険物と隣合わせで暮らしていかなければならない。
原子力発電が本当に必要なものか、我々一人ひとりがもう一度良く考えなければいけないテーマだと思う。
次の映像は、汚水を流したことに何も認識のない現場責任者とのやり取りが写っている。
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