珈琲ほど嗜好性の強い飲み物はないと思う。 偶然に入った喫茶店で香りがあって美味しい珈琲が飲めると嬉しくなりますが、逆に良い味を出していた店が味を落としてしまうと残念な思いにかられ、二度と来るものかと心を強くしてしまいます。
蕎麦店と同じように、店主の五月蝿い能書きを聞かなければ飲めないような店も御免被りたいです。 珈琲の味、店構え(店内の様子)、店主(店員)の三拍子揃って満足できる店は数少いと思います。
と言いつつも、美味かったという印象を持った店を再びたずねる機会は少なく、結局は忘却の彼方に消えてしまうことが多いです。 今、思い出すのは、旭川のちろる、小樽のさかえ屋、札幌(新千歳)の宮越屋、神奈川県・葉山町のパッパニーニョ。 東京都内の店も色々行ったはずですが生活パターンが変わって足が遠のいてしまい今は思い出せないでいます。 パッパニーニョは、御用邸近くの住宅地の一角にあり、わかりにくい場所ですが逆に静かな雰囲気の良い店で、年配のご主人がゆっくりと入れた珈琲は実に美味しく、時々デミカップで出してくれるココアもうまいです。
さて、今日、京都・今宮神社境内近くに店を出している、はしもと珈琲の豆が届きました。 はしもと珈琲を初めて味わったのは4年前で、イギリスからの客人を京都へ案内した時、今宮神社でのあぶり餅を賞味したあとの珈琲は格別美味しかったです。
久しぶりのはしもと珈琲ですが、我が家で煎れると今一つの味。 やはりお店で飲まないと本来の味を楽しむことはできないようです。
最近は通販で珈琲豆を買うことが多く、その筆頭にあるのが東京・下北沢のコーヒーモルティブ下北沢です。 実際にお店を訪ねたことはありませんが、品質が一定でいつも美味しく飲むことができます。
ただ、最近はコーヒー豆の輸入価格が上がっているようで、なかなか安く飲むのが難しくなっているようです。 加え、コーヒーの木の栽培で熱帯雨林が減少していると、信条としてコーヒーを飲まないという人も居られます。 嗜好と信条の折り合いをどこでつければ良いのか、いつも頭の隅に置いておくべき問題だとは認識し、痛みを少し感じながら嗜んでいる所です。