小沢一郎氏の政治資金問題について、19日に小沢氏本人の意見陳述が行われ、その詳細がブログに記載され、またメーリングリストでも配信されて来ましたので、こちらにも転載することにしました。
この意見陳述を読むと、実に正しい論を展開されていることが分かります。
検察が事件として立件できなかったものを、不明人物による訴えにもとづき検察審査会が訴追したということですが、審査に加わった者の平均年齢について当初から疑義がもたれていました。 そして最近では最高裁事務総局が審査員選出にかかわるソフトウエアに対し恣意的な操作が可能な開発を委託したとのことです。
たびたびえん罪作りをしてきた警察や検察に加え、公正な司法の場であるはずの最高裁も腐っているんですね。 こういう事実をおしなべて見てくると、小沢さんの事件は恣意的、作意的に引き起こされてきたことだと分かります。 かつての太平洋戦争突入に対し、当時の軍部や政府は当初から負けると分かっていたが、参戦の強い流れに反対意見を述べられなかったとのことです。
今の政治家や司法関係者も、小沢事件について訴追するのは無理だと分かっていながら、態勢に迎合しないと自分の立場や地位が保全されないと、それこそ自身への保身に走った結果であると思われます。
小沢さんが最高の政治家であるかは分かりませんが、ここ数年の彼の言動を見るだけで、この国のリーダーとしてこの人しかいないと思わせるものがあります。 人間的な好き嫌いを除いて、これまで民主党政権を担った鳩山、管、野田の三氏を見ただけで、その政治手腕に相当の開きを感じます。 岡田や枝野をはじめ、地方自治体の長にいたるまで、がれき処理や原発事故対策などに対し、自身や身内への利益誘導が根底にある政策がしばしば行われており、そこには被災地住民の救済や国民の安全を志向する考えはないものと想定されます。
小沢さんの政治に全て同意するものではありませんが、三流国家に成り下がった日本を救う人物は他には見当たらず、4月26日の判決が有罪となれば、増税に拍車がかかり、貧富の差の増大、貧困層の増加と、日本は三流どころか四流、五流の国家となり、外国からは全くあてにされない国になるでしょう。
あと1月の間、小沢さんへの訴えそのものが、偽証されたものであり、インチキであることを広く知らしめ、これまでたびたび起きている検察・警察のえん罪作りと同類項であると訴え続け、無罪判決への道筋にしたいと思います。
意見陳述の詳細は「続き」をどうぞ。
裁判長のお許しをいただき、本裁判の結審に当たり、私の見解を申し上げます。
5ヵ月半前、私は指定弁護士による起訴状に対し、次のように申し上げました。
(1)東京地検特捜部による本件強制捜査は、政権交代を目前に、野党第一党の代表で
ある私を政治的・社会的に抹殺することが目的であり、それによって政権交代を阻止す
るためのものだったと考えられる。
それは、主権者である国民から何の負託も受けていない検察・法務官僚による議会制民
主主義の破壊行為であり、国民主権への冒とくである。
(2)指定弁護士の主張は、そのような検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を
唯一の証拠にした東京第5検察審査会の誤った判断(起訴議決)に基づいたものにすぎ
ない。
(3)したがって、本裁判は直ちに打ち切るべきであり、百歩譲って裁判を続けるとし
ても、私が罪に問われる理由はない。政治資金規正法の言う「虚偽記載」に当たる事実
はなく、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてない。
(4)今、日本が直面する危機を乗り切るためには、このような国家権力の濫用を止め
、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義を確立する以外に方法がない。
以上の見解は、これまで15回の公判を経て、ますます鮮明になったと思います。
以下、その事実を具体的に申し上げます。
基より、「法の下の平等」「推定無罪」「証拠裁判主義」は、法治国家の大原則であり
ます。
ところが、東京地検特捜部の強制捜査は、それらをことごとく無視して、証拠に基づか
ない不当な推認を積み重ねただけのものでありました。まず、政治資金規正法の制定以
来、本日ただ今に至るまで、政治資金収支報告書に間違いや不適切な記載があっても、
実質的犯罪を伴わない限り、検察の言う「虚偽記載」も含めて、例外なくすべて、報告
書を修正することで処理されてきました。
それにもかかわらず、私のケースだけを単純な虚偽記載の疑いで強制捜査、立件したこ
とは、「法の下の平等」に反する恣意的な法の執行にほかなりません。また、前田元検
事がこの法廷で、「取り調べの初日に、木村主任検事から『これは特捜部と小沢の全面
戦争だ。小沢を挙げられなかったら特捜部の負けだ』と言われた」と証言したように、
「推定無罪」どころか、最初から「有罪ありき」の捜査、立件でした。
さらに、形式的には「証拠裁判主義」にのっとって、私を2度不起訴にしておきながら
、その実、違法・不当な捜査で得た供述調書と「小沢有罪ありき」の捜査報告書を東京
第5検察審査会に提供することで、同審査会の議決を「起訴議決」へと強力に誘導しま
した。その動かない証拠が、石川元秘書が虚偽記載を私に報告、了承を得たとの供述を
維持したという平成22年5月17日の田代検事作成の調書と捜査報告書であります。
去る2月17日の公判で、裁判長が、「検察審査会の再度の議決の判断材料として提供
することを予定しながら、違法不当な取り調べを行い、石川に供述を維持させた」、「
捜査報告書の記載は事実に反する」と指摘されたとおりだと思います。とりわけ重大な
問題だと思うのは、田代検事自身が法廷証言で、「捜査報告書は上司に言われて作った
。検察審査会に提供される可能性はあると思っていた」と認めたように、石川元秘書が
供述していない虚偽の事実を意図的に報告書に記載し、東京地検が、それを検察審査会
に提供したことであります。
その悪質さにおいては、厚生労働省元局長村木厚子氏の虚偽公文書作成事件で、前田元
検事が証拠を改ざんした事件を上回るのではないかと思います。そして、その虚偽の供
述調書と捜査報告書は、平成22年9月、検察審査会が起訴議決をして、私の強制起訴
を決めた最大の証拠とされました。
それは、検察審査会の議決文が石川元秘書の調書を信用できるとした理由について、虚
偽の捜査報告書の内容を踏まえて、「再捜査で、石川自身が供述を維持した理由を合理
的に説明している」と明記していることで明らかであります。
ところが、東京地検特捜部による強力な検察審査会誘導はそれだけにとどまりません。
先に、裁判長が田代検事による石川元秘書の違法不当な取り調べについて、「個人的な
ものではなく、組織的なものであったとも疑われる」と指摘され、花崎検事による池田
元秘書の取り調べについても、「利益誘導があった」、「取り調べメモを廃棄した」と
認定されたとおり、当時の佐久間部長、齋藤副部長、吉田副部長、木村主任検事ら特捜
部あげての審査への誘導工作だったと考えられます。
実際、東京地検が検察審査会の再審査に提供した、ほかの捜査報告書を見ると、「小沢
は3回にわたる取り調べでも合理的な説明ができず、不自然な弁解に終始した」、「政
治資金収支報告書に関する小沢の供述は虚偽である」、「小沢の共謀を推認する積極的
証拠となり得る」、「小沢には本件不記載・虚偽記載の動機があった」等々、「小沢有
罪ありき」の推認の記述ばかりで、明らかに、起訴議決をしない方がおかしい、強制起
訴すれば裁判でも勝てる、と誘導しています。
仮に、それら捜査報告書と供述調書が、ほかの政治家に関するものであり、かつ私がそ
れを審査する検察審査会の一員だったとしたら、私も「起訴議決」と誤った判断をして
いただろうと思うほど、強烈で執拗な工作であります。
加えて、前田元検事が、「東京地検では証拠隠しが行われた。検察審査会では全ての証
拠を見ていない」と証言したように、検察の「小沢有罪ありき」の見立てに合わない取
り調べ結果は供述調書にせず、そのメモさえ審査会に提供しませんでした。
そのような検察の手法には、司法の支配者然とした傲慢ささえうかがわれます。
事実、東京地検は、本公判開始の9か月も前の昨年1月に、田代検事並びに特捜部副部
長による捜査報告書の虚偽記載の事実を把握しておきながら、放置、黙認し、指定弁護
士にも、裁判所にも、私の弁護団にも一切伝えなかったと報道されています。
特に、指定弁護士が強制起訴手続きを行う前にその事実を把握していたのに、指定弁護
士に知らせなかったのは、言語道断であると思います。
本件は、ただ単に検察が私個人に対して捜査権・公訴権という国家権力を濫用したとい
うことではありません。
野党第一党の代表である私を強制捜査することで政権交代を阻止しようとし、政権交代
後は与党幹部である私を強制捜査ー強制起訴することで新政権を挫折させようとした、
その政治性に本質があります。
検察は、2年間もの長きにわたって、不当・違法な捜査を行い、あまつさえ検察審査会
の審査・議決を誘導して、強力に政治への介入を続けました。それは正に、議会制民主
主義を破壊し、国民の主権を冒とく、侵害した暴挙と言うしかありません。その実態が
15回の公判を通じて、具体的事実によって、いよいよ鮮明になったことが、本裁判の
一番の意義である、と私は思います。
以上のように、検察審査会の起訴議決は、私を強制起訴させるために東京地検がねつ造
した違法不当な供述調書と捜査報告書に基づく誤った判断であり、その正当性が失われ
たことが明白である以上、私にはいかなる点でも罪に問われる理由はありません。
私は無罪であります。
もちろん本来は、本件控訴は棄却されるべきものであります。
もし、何らかの理由で公訴が棄却されない場合でも、私にはいかなる点でも罪に問われ
る理由はありません。政治資金規正法の言う「虚偽記載」に当たる事実はなく、まして
や私が虚偽記載について元秘書と共謀したことは絶対にありません。
東日本大震災からの復興は、丸1年経っても本格化するに至らず、福島第一原子力発電
所の事故は依然として収束の目途すら立たず、一方では歴史的円高によって国内産業の
基盤が崩れ始め、欧州の金融危機に端を発する世界恐慌の恐れが迫って来ている今、日
本の経済・社会の立て直しは一刻の猶予も許されない事態になっています。
★デフレ下で増税を強行するのは無理だと多くの方が思っています。
そのためには、検察・法務官僚による政治のろう断に即刻、終止符を打ち、速やかに政
党政治に対する国民の信頼を取り戻して、議会制民主主義を機能させなければなりませ
ん。裁判長はじめ裁判官の皆様におかれましては、見識ある公正なご判断を下されるよ
うお願い申し上げ、私の意見陳述を終えます。
ありがとうございました。
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