本書は、先月であったか長野へ出た時に駅前にある平安堂古書店で買い求めたもので、昭和45年発行の文庫本で定価110円のものを50円で購入した。
この蟹工船は、幼い時に父親に連れられて映画を見た記憶がおぼろげながらあり、ネット検索したら俳優の山村聡が監督で1953年に製作されたとあった。 当然白黒映画であったが、もう一度見る機会があればと、レンタル店などを数軒見たが、さすがこれほど古く娯楽とはかけ離れた内容では置いている所はない。 とうの昔に他界した父親が、資本家側の足元にいながら、よくもこういう映画を見に連れて行ったと、今でも不思議に思う。
本書の中で描写されている悲惨な現場は、特高警察に弄られ著者本人が逝った牢獄、そして名ばかり管理職といった現代の職場にも共通するものがある。 「労働者は常に使い捨て」という思考は、資本主義でも共産主義体制であろうとも、貨幣という価値手段があり管理された社会で富を求める人類がある以上常にはびこるものであろうと思う。 特に、現代の日本のように、国や社会が肥大化するにつれ、その状況は加速化され隠蔽されて行く。
そういう意味では、小さな国や地方、あるいは田舎で、アーミッシュのような自給自足に似た生活の中で暮らした方が良いのかもしれない。
以前、「三浦綾子の「母」を読む」で記したが、小林多喜二は決して反政府主義者でも暴徒でもなかった。 自分の身の回りにいる人々の貧しさを少しでも改められればと働いた人で、「母」が語るように優しい純な心根の人であったと思う。 現代に生きていれば、大変な働きをされたであろう。
なお、本書はインターネットの図書館である青空文庫でも読むことが出来る。
さて、昨夜は、梅干漬の作業を手伝った。 完熟した南高梅は、本当に良い香りを放ち、ちょっと酔いそうな気分にもなる。 昨夜は、梅を洗ってからヘタを取り、樽に収めながら塩をして行くという単純な作業である。 例年30kg漬けていたが、まだ在庫があるからと今年は半分の15kg。 梅干は旧くなればなる程価値のあるもの。 もっと沢山漬ければと思うが漬けた瓶を置く場所がない。 昔の家のように広いたたき(土間)や納戸があれば造作もないことだが、現代の家は置く場所から考えておかなければいけない。
今日の暦から : いろいろ食べて生活習慣病予防
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