図書館から借りてきた「食卓のおとし穴」というタイトルの、平澤正夫さんというジャーナリストが1998年に出版された本を読んだ。 次の目次にあるように、日本人の食卓にならぶ食材や調味料の中から選ばれた15品目について、その生産や加工現場から問題点を明かしているものであった。
昨年末、京都・清水寺管主がその年を現す漢字として「偽」という字を書かれていたが、これら15品目だけでもこんなにもウソ偽りがあるのかと唖然としてしまった。 生鮮食料品を除き加工されたものは成分表が義務付けられているのだが、成分表に現れないものが特に問題で、一例をあげると、中国産の鰻は洗剤を入れた洗濯機に入れて撹拌し表面のぬめりを取るのだそうだが、当然鰻は口から洗剤を飲み込んでいるのである。
また、緑茶のように劣悪な輸入品に少量の国産茶を混ぜるだけで、生産地日本と明記できてしまうものらしい。 さらに防腐効果をあげるための添加物やグルタミン剤などなど、日頃スーパーなどの店頭では分からないことばかりであった。
中国製冷凍食品に農薬が混じっていたことが騒がれ、今や未解決のままニュースにも載らなくなった。 それも問題だが、かかる中国製餃子ばかりでなく、お膝元の国内企業が商品を長持ちさせ大きく綺麗な色に見せるために意識的な混入をはかっているのである。
このように、添加物だらけの食材や冷凍食品、さらにはコンビニ弁当、ファミレスなどで味覚を狂わされた日本人は、テレビの安っぽいグルメ番組に出た料理が美味しいのだと殺到する。 何とも情けない姿ではないか。
イギリスの家庭料理ほど手がかからず不味いものはないが、スーパーマーケットで買うパンやハム、チーズなどは何の添加物がないから本当に美味しい。 しかも、どれもが200円とか300円ととにかく安い。 加え消費税のような税金が殆どかかっていない。 しかし、日本の食品はまがい物のうえに、「正」とか「純」とかいう言葉を商品名にかぶせて、いかにもまともな製品のように消費者に思わせている。
厚生省などお役所は、はじめから毒性やガン誘発の疑いのある添加物を率先して排除すべきなのだが、官僚は次の職場の確保のためであろう、製薬や食品会社のいいなりのまま承認して、大企業と結託して消費者を騙しているわけだ。
消費者は何を信じて買えばいいのだろうか。 とにかく、名のある大手企業の食材は、まずは疑ってみることであろう。 今だもって、「味の素」のCMをテレビで流しているのを誰も疑問に思わないらしい。
本書に書かれているように、今や地方にある小さな加工場で昔ながらの製法で作っている食材しか信じられない。 しかし、それも時代と共に消えて行くものであろう。 本書に書かれてあった茨城県北浦のマエダ・ベーカリーは、ネット検索したら来月には廃業するようだ。 手作業で缶詰を作っているという根室缶詰はネット通販もできるようで、こちらはちょっと興味がある。
とにかく、子育て中のお母さんは、日本の食糧事情をよく見極めて、健康な食品を子供さんに供してほしい。 アトピーや花粉症などというのは、正しい食品選びをしていれば避けられるものだと思う。
さて、今日は、「約束~日本一のダムが奮うもの~」と題した、徳山ダムの底に沈んだ旧徳山村住民の姿を映した放送を見た。 旧徳山村を映した映画「水になった村」を見損なったと以前記したが、今日の映像の中では行政に振り回される、旧村民の悲しい姿を見てしまった。 村を離れて畑仕事のない年寄りは、することもなく孤独死したり自ら命を絶ってしまった人たちもいるという。
建設を進めた行政側のトップは財団(特別行政法人)の理事などに天下りして、住民を騙すような所作はしていないと言う。 こういう所にも住民不在の行政が行われていたわけだ。
昨今のバター不足は飼料の高騰により、畜産農家が立ち行かなくなった結果らしいが、これも農水省などの誤った施策の結果であろう。 この国は、官僚によって行政を腐敗させられ、しまいにはアメリカなどの国の属国になって、日本食のみならず文化も全て滅び、後世に残せないのではと気がかりでならない。
今日の暦から : 冷蔵庫の過信は食中毒のもと
0 件のコメント:
コメントを投稿