東京であろうと大阪であろうと高級と名がつく、こういう店にはとんと縁がないのだが、書棚を見ていたら、創業者の湯木貞一さんが書かれた「吉兆味ばなし」という暮しの手帖社出版の書籍が目に入った。 1969年から暮しの手帖に連載した内容を一冊にまとめた本らしい。
「吸物と玉子どうふ」という項に、「化学調味料に頼りすぎ」と書かれてある。 貞一さんは化学調味料を全く否定はしていなかったようだが、これを吸物に入れると、初めは美味しさを感じるが、しばらく吸っていると舌先にこれは化学調味料だなと分かってしまうと言う。 逆に、きちんと出汁をとったものは吸うほどに旨みが増して来ると、実に納得できる件であった。
今やどこの食堂でもレストランでも化学調味料漬けの食事を出しているであろうから、外食の機会が多い人は逆に舌が慣らされてしまい、こういう感触を持たないかもしれない。
自分は、化学調味料と、天ぷらなどに使用する油については、かなり敏感に反応するほうだと思っている。 合わない調味料などだと、舌や唇、口の中で荒れるような気持ち悪さを感じるので、やむを得ず外食する時には、極力そのような料理を避けるようにしている。 そうでなくても、正確な知識はないが、グルタミン酸ソーダ類の多量摂取は脳細胞への悪い影響があるらしいので、避けることに越したことはない。
本書の最後に、暮しの手帖社創立者の花森安治氏があとがきを書かれているので、その部分だけここに残そう。 花森氏は本書の出版を見ずに他界した由。 出版は1982年。
本書に書かれているような創業者の思いを忘れていなければ、船場吉兆は廃業にならずに済んだのであろう。 吉兆グループ全体についてはウイキペディア記載の内容しか知らない。
今日の暦から : 字が読める眼鏡もう一つ
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