昨夕から、霰のような雪が降って、屋根からは滑り落ちる雪が、人が歩いているような、またネズミが這っているような奇妙な音を立てていました。 そして、朝には辺り一面真っ白な世界になりましたが、たぶん日中の日差しに溶けてしまったでしょう。
さて、作家 中勘助は、1912年(明治45年、大正元年)に野尻湖畔で「銀の匙」を著したそうですが、この年と前年に野尻湖に浮かぶ琵琶(弁天)島に渡り、祭の際に神官が泊まる家(小屋?)で一時暮らしたそうです。 その独居生活で記した日記から「島守」という短編を発表したようです。 野尻宿の本陣の方(池田さん?)が柴舟を漕いで食糧を運んでいたようです。
50ページほどの短編ですが、琵琶島から見た飯綱山、黒姫山、妙高山の風景や、対岸の部落で働く人々の姿、炭焼きの煙、また托鉢に出る尼僧を斑尾方向に追うような記述もあって、現在と変わらない土地に古の情景が思い起こされるものでした。 同居するネズミ夫婦を見つけ餅や米をあげる優しさがあり、怪鴟 魑魅 猩猩といった、難しい漢字が時々出てくるものの、格調高く総じて平易でなじみやすい文体のようにも思えました。
この作品も、信濃町(野尻湖)の大事な宝ですね。
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