一昨年であったか、信濃町では熊による死亡事故が起きるなど、熊が里に降りてきて農作物を荒らすばかりでなく、人間との接触による事故があちらこちらで目立っている。 そのためか、今年は逆に熊の捕獲数が多すぎてしまい、生息数を減らしすぎるのではと危惧されている。 問題が色々提起されているが、熊が間もなく冬眠の季節に入ることを考えると、かなり遅い対応のような気もする。 内容は、クマが生息する周辺の地区の住民や行政担当者へ、注意を促すものであり、内容にあまり目新しさはない。
「クマ対策に役立つ都道府県のホームページ」一覧をたどって見た方が役立つ内容が濃いようだ。
何気に、各県の内容を総括しているんだと示しているようで、お役所仕事的な雰囲気が感じられるが、今回のは暫定版ということなので、正式版が出てくるであろう来年3月まで待ちたい。
さて、本州の熊とは異なるが、北海道のヒグマの生態や被害について、北海道新聞 大いなる知床に記載されているが、これも大変参考になると思うが、その被害の歴史はすざましい。
��004年10月に黒姫高原 徒然日記に記した「熊にあったらどうする?」を再掲しよう。
(2004年10月12日記載)
8月に、信濃町でも熊による死亡事故が起きているが、この所、熊による被害というか、人里出現の話が毎日のようにテレビで放送されている。 しかし、何故こういう事態が頻繁に起きているか、その理由まで解説していることは殆どない。
先日の信濃毎日新聞には、信濃町役場で今年度分として用意していた熊除けの鈴が、小学生などに携帯させ在庫がなくなったという記事が載っていた。
ところで、熊は大きく獰猛だという概念が日本人には植え付けられてしまったようだが、実際にはドングリなど木の実を食べる草食が中心で(雑食と言った方がいいかもしれないが)、非常に警戒心の強いものの、動くものには関心を持つ動物なのである。
しかし、針葉樹を中心にした植林政策のおかげで、山には落葉樹がなくなり、ひいては熊の餌になる植物が育たなくなった。 そして、川釣りや山菜採り、川遊びなど、人間の自然との楽しみ方が山の奥へ奥へと変わってきた。 そして、人間が食べ物やゴミを放置したり、単に埋めただけでは、熊は簡単に見つけるし、自然の実より味の濃い食べ物を舌で覚えてしまうのである。
今年のように高温の夏が続き、山に餌となる実が育たなければ、人里の畑でトウモロコシや果物を餌にするのは自然の成り行きだし、畑に餌がなければ人の住い近くに出現することにもなる。
射殺した熊の胃袋を見ると、餌になるものが何もなかったと話している映像も見た。
小熊は母熊と3年は生活を共にし生き方を学ぶのだが、母熊が殺されれば、自分の住処や山に戻ることもできず、人里に戻ってしまうことも考えられる。
こういう熊の生態について書かれた本を今回読むことができた。
木楽舎刊:「クマにあったらどうするか」
副題:アイヌ民族最後の狩人 姉崎等
聞き書き: 片山龍峰
70歳近くまで北海道で熊獲りを業とし、一人で40頭、グループで20頭を捕獲したという姉崎さんという方に熊の生態などをインタビューして書としたものである。
この本を見ると、人間は被害者ではなく、人間こそが熊や山の自然への加害者であることがよく分かる。
熊を単に恐ろしい害獣とするのではなく、日本の国土そのものの生態まで考えるきっかけとして、熊出現の報道を見てほしいと思うのである。
この本の中で述べられている、熊にあったらどうするかの10ヶ状を掲載したが、その真意をこの本からぜひ学び取ってほしい。
��まず予防のために)
��.ペットボトルを歩きながら押してペコペコ鳴らす。
��.または、木を細い棒で縦に叩いて音を立てる。
��もしもクマに出会ったら)
��.背中を見せて走って逃げない。
��.大声を出す。
��.じっと立っているだけでもよい。その場合、身体を大きく揺り動かさない。
��.腰を抜かしてもよいから動かない。
��.にらめっこで根くらべ。
��.子連れグマに出会ったら子グマを見ないで親だけを見ながら静かに後ずさり。
��その前に母グマからのバーンと地面を叩く警戒音に気をつけていて、もしもその音を聞いたら、その場をすみやかに立ち去る)
��.ベルトをヘビのように揺らしたり、釣竿をヒューヒュー音をたてるようにしたり、柴を振り回す。
��0.柴を引きずって静かに離れる(とがった棒でつかない)
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