小樽・忍路でのソフト断食は丸一日で終わり、二日目の夕食は、主催者である中溪さんの奥様が作られたスパイシーなカレーライスであった。 茶碗に半分ほどのご飯をよそったが、断食の後ではそれでも多すぎた。 カレー好きの家内は喜んでいたが、カレーと聞くだけで頭から汗を噴出す自分には少しきつかったが、味は大変良かった。 夕方6時近くなって、松本英揮さんのお話を聞く方々がぞくぞくと集まり出し、その中には地元ラジオ局の方もいたようだ。
さて、宮崎から遠路はるばる小樽へ来られた松本英揮さんは、輪行バックから出したチャリに乗って余市まで走り、つるかめ温泉に入ってから忍路へ戻って来たようだった。 カレーライスで食事しながらのレクチャーが始まり、初めはテレビ番組で放映された姿をDVDで見て、それからスライドプロジェクターを使ってチャリで巡った世界の国々を説明されていた。
チャリで世界を巡る中で、どういう形でエコロジーに関心を持つようになったか良く分からなかったが、ドイツのエコの状況を話されたり、アフリカのボツワナであったかエイズ撲滅運動を展開されているともおっしゃっていた。 エイズ菌は40数度の温度で死ぬということで、米ぬかを利用した酵素風呂に入ることで、その効果が現れるとのことで、穀物を主食にしている国では最適な手段である由。 鹿児島大学の非常勤(ご本人の弁では、非常識)講師をされていると、住まいのある宮崎から鹿児島まで100数kmをチャリで往復されていると言い、翌日は、山坂が続くニセコまで行かれるらしかった。 以前、ご子息と道内を巡ったことがあると仰っていたので、北海道もご自分の庭のような存在なのであろう。
たぶん言いたいことを一杯お持ちなのであろうが、短い時間内では熱意は伝わるものの、話の展開がよく飲み込めなかった。
終わって、DVDは買わなかったが、エイズ基金の袋には些少であるが寄付を入れた。 また、松本さんはドイツへのエコツアーを毎年企画されていると聞き、ヨーロッパを自転車で走ることが出来ればと少し興味が湧いて来た。
一連の話が終わってから、質疑応答、それからきくちゆみさんとの懇談が始まった。
そんな間にも、一人二人と参加者が増えて来て、その中にサンタクロースの赤い服を着た女性がいた。 その方がるいるいサンタであった。 直接お話はしなかったが、サンタクロースの服を着て全国を巡っている由縁を聞いて、こぼれそうな笑顔の裏に大変な体験があったことを知り、その思いに感じるものがあった。
彼女は、今、「47都道府県@あなたに”愛”に行きます」ツアーを展開しており、北海道は16県目だと、来年2月の沖縄県まで回るそうだ。 その間に、ハワイのホノルルマラソンに参加したり、韓国のナヌムの家訪問を予定などされているらしい。 各県の県庁を訪ねることを目的の一つにしているらしいが、全てを回った所で再度実行することも考えているらしい。 翌日も、地元放送局や学校で話をすることになったと仰っていた。
何故、彼女がそのような活動を行っているのか、ここには詳しく書かないが、いただいた案内から彼女の意図の一遍を知って欲しい。
今回の講演は、その内容というよりむしろ、平和活動と体の健康を考えている森田玄さん・きくちゆみさん、全国を巡り植樹を続けている中溪宏一さん、エコチャリをすすめている松本英揮さん、性犯罪被害者の救援を行っているるいるいサンタさん、彼らに出会えたことが一番の収穫になったと思う。
殺人事件や救急病人のたらいまわしなど、心を失った日本の今の社会に対し諦め感しかなかったのだが、彼らに出会えたことで、日本もまだ捨てたものではないよと、彼ら若者に希望を感じることが出来た。
松本英揮さん=自転車で世界を巡り環境講演会1000回
◇悩まず楽しく地球を変えよう--松本英揮(まつもと・ひでき)さん
砂漠化が急速に進む中国山西省の学校。6年前、地球温暖化や環境破壊に関する講演を終えると、14歳の少年が手を挙げた。「僕は将来、政府の環境局長になって環境を守り、人類を守ることを決めました」
その瞬間、心がしびれた。「自分が話すことで、地球が変えられるかもしれない」と思った。
大学卒業後、建設業界で働いた。道路やビルを建設するうち、「自分が稼ぐほど環境がだめになる」と感じた。36歳で仕事をやめ、大阪・あいりん地区へ。「一見豊かできれいな日本」の裏で経済活動に翻弄(ほんろう)される労働者に出会い、「これからは自給自足で生きる時代だ」と実感した。
具体的にどうすべきか学ぼうと、欧州の環境先進国や北極圏、南太平洋の島々など環境破壊の現場を歩いた。その結果を仲間に話したところ、国内外から講演依頼が舞い込み始めた。
講演の移動は、できるだけ自転車を使う。荷台に映写機を載せ、世界で撮影したスライドを上映。トイレの後は風呂の水で洗い、タオルでふくなど、ペーパーレス生活のワザを披露する。「ゴミも光熱費も交通費も減った。環境というと難しく考えがちだが、続けるほど楽しくなります」
最初の講演から8年半、今年8月に1000回目を達成。約8万人が耳を傾けた計算だ。次の目標はホウレンソウ屋根の家。「自分で木造住宅を建て、好物で屋上緑化して、自給自足を実現したい」<文・永山悦子/写真・佐々木順一>
==============
■人物略歴
宮崎市生まれ・在住。エコロジスト。NPO法人「H-imagine(ひまじん)」代表。鹿児島大非常勤講師。妻と12歳の長男と暮らす。47歳。
毎日新聞 2007年11月7日 東京朝刊
0 件のコメント:
コメントを投稿