先日出席した講演会で購入した、正木高志さん著「蝶文明」を読み終えた。
これまで著者の講演は2回聞いたが、その内容にほぼ近い記述で、著者の意図を再確認する意味でも良い著作であった。
目次には、
プロローグ
part1 : グランウンディング
part2 : ひとつの地球へ
エピローグ
しか記されていないので、もう少し詳しい各章のタイトルを残そう。
part1は、
・木を植えたらフシギなよろこびが
・walk9 / おむすび巡礼
・鍵はどこで失くしたのですか
・ハワイアン ルネサンス
part2は、
・日本人が地球人に生まれかわる
・神々の危機
・どうしてそっぽを向いてきたのだろう
・百済のカルマ
・9条で宙返り
これまで日本列島の日本海側には原子力発電所が多く設置(計画含め20数ヶ所、50基以上)されて来ているが、北朝鮮など日本と対峙する国がもしこれら原発施設にミサイルを発射したらどうなるだろうか? という著者の話を初めて聞いた時、震撼させられたというか衝撃波が自分の身に走った。
普通の日本人は、だから軍備強化をして、向こうが発射する前に叩くのだとか、迎撃するのだと言う。 しかし、それで日本という国を完全に守ることができるのだろうか? 否、出来まい。 発射されたミサイルやロケット弾の一部は日本に到達し、原発施設を被弾させるであろう。 そうなればチェルノブイリであったような未曾有の放射能被害が日本で再び発生することになる。 加え、先の北朝鮮のロケット実験の時を思い起こすと、自衛隊の対処がいかに不備だらけであったことが分かる。
従前から、原子力の平和利用などあり得ず、六ヶ所村のように核のゴミを数百年、数千年と未来に残すことに疑問を持っていたが、原発施設に加え、米軍の原子力空母や潜水艦なども非常に危険な存在なのである。
北朝鮮による拉致事件の遠因は、日本政府の戦後処理の拙さ、また自衛隊や在日米軍の軍備強化にあると思う。 「やられたらやりかえす」という子供の喧嘩のような争いのための準備を繰り返していたら、平和な世の中は来ず、沖縄戦のように、いつの世も市井の人々が一番苦しむことになろう。
地球の自然環境が崩壊しつつあるのは自明の理で、これに戦争による破壊が加われば、人々は住む場所を失い、生きる手立てが持てなくなる。 今日と明日、東京の横田基地ではステルス戦闘機F-22の公開展示が行われるということだが、こんなものは全くの無用物。
1機数十億円か数百億円する戦闘機を日本の自衛隊に買わせようとするアメリカのデモンストレーションなのだ。 結果、北朝鮮などとの緊迫感を一層強めることになる。 逆に言えば、アメリカは北朝鮮が怖いと煽っておいて、日本に戦闘機や爆弾を買わせ、そして国際貢献だと日本(自衛隊)にアメリカ軍の肩代わりをさせようとしているわけだ。
憲法9条が示す通りに日本に軍隊がなかったら、丸腰の日本に北朝鮮はピストルの銃口を向けるであろうか? 北朝鮮の政治家はそんな馬鹿ではない。 著者が言うように、まず、日本が9条を遵守し、戦わないことの姿勢を示すことが、日本ばかりでなくアジアの平和につながるはずである。
国境という枠を取り払い、我々は地球人として生き、争いのない世界にするために、東洋的な発想の元に手をつなぎ合おうというのが、本書の趣旨であり、著者の願いである。 東南アジア、特にインドを長く彷徨った経験で培った著者の感性で本書は書かれている感じがするが、本書は平和学習書としての位置づけにもなると思う。 平易に書かれているので、中高校生が読めば、なるほどと合点すること間違いないし、これから日本を背負う多くの若者達に是非読んでもらいたい。
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