先日、小樽へ行った際に小樽文学館へ立ち寄ることが目的の一つになっていました。 私は全くと言っていいほど存じ上げない人物なのですが、現在、小樽文学館でノンフィクション作家の黒岩比佐子さんという方が収集された所蔵本を展示しており、家内が是非観たいと望んでいたものでありました。
黒岩さんは、村井弦斎や国木田独歩を中心に明治時代に発刊された著作や雑誌を数多く収集されて、その所蔵本の一部を展示しているものであった。 国会図書館にもないものが数多くあるらしく、明治時代の文化や庶民生活の一旦を知る手がかりになるものではないかと思われました。 当然、展示書籍の表紙しか我々は見られないのですが、100年程昔の書籍であっても、重厚な内容が感じられるものでした。 会場では、「食道楽の人村井弦斎」や「古書の森逍遥」など黒岩さんの著作を販売されていたので数冊を購入。 また、この6月東京・神田の古書会館で行われた黒岩さんのトークショーをビデオ再生しており、黒岩さんの人柄を感じることも出来ました。
ただ、黒岩さんは現在大変な病を抱えておられるようで、ここまで集められた大事な文化が散逸しないような手立てが出来ないものかと願うものでありました。
会場には、小樽に関わる文人の展示(常設)も行われているのですが、石川啄木や小林多喜二については既に知っていたのですが、伊藤整も小樽商大を出た後、教員として一時小樽に留まっていたとのことでした。 そういえば、野尻湖の国際村近くに昔伊藤整の山荘があったそうで、現在は建物は無く空き地というか薮になっています。
文化人の一覧の中で、ナンシー梅木が小樽出身であることも初めて知りました。 ナンシー梅木は、戦後、ジャズ歌手になってアメリカへ渡り映画にも出演した俳優ですが、私も名前程度しか知りません。
ここ数年、ワーキングプアー問題が顕在化する中で、小林多喜二の「蟹工船」がよく読まれるようになったそうです。 私も読み返したり、小樽に来た時に思い出していたのですが、今回、案内してくださる方が居られたので、墓所に参ることを思い立ったのでした。 でも文学館の担当者に聞くもその場所は分からないとのこと。 それでも奥沢という地名だけを頼りにどうにか見つけることが出来ました。
場所は、南小樽駅近くの5号線奥沢十字街交差点から赤井川国道に入ります。 そして天神十字街という交差点を左折(セブンイレブンが左にあります)、100mほどゆるい坂道を上がっていくと、左手の傾斜地に墓石が見えてきます。 手前か先を左折して、墓地内の坂を上り、車道から二段目の真ん中辺りに案内板がありました。 普通車でどうにか通れる幅と坂道でした。
墓石裏面に、「昭和五年六月二日小林多喜二建之」の文字が彫られていました。
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