1993年から青森県上北郡六ケ所村で進められて来た、使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出す再処理そして放射性廃棄物の埋設を目的とした核燃料工場の建設に翻弄されてきた地元住民の姿を写した映画「六ヶ所ラプソディー」の鎌仲ひとみ監督が、山口県上関(かみのせき)に計画されている中国電力の原子力発電所建設工事に対し、これも翻弄され死活の瀬戸際にいる田の浦や祝島の住民とそのの生活を追った映画「ミツバチの羽音と地球の回転」を観て来た。
場所は、東京・お茶の水の明治大学本館の地階で、1階では「"パレスチナ・占領"を映像で体験する」と銘打った映画「届かぬ声ーパレスチナ・占領と生きる人々」の上映会が行われていたが、時間がかさなりそちらには行かれなかった。 今週はもう一つ講演をこの大学の講堂で聞く予定にしており、ここは大学なのか、何かホールなのか、よく分からないほど立派な建物であった。
さて、「ミツバチの羽音と地球の回転」の冒頭は、ヒジキの収穫場面から始まりビワなど祝島が海の幸山の幸にいかに恵まれているかを教えてくれていた。
映像の半ばで舞台はスウェーデンへと移り、持続可能な社会を構築する人々の取り組みとして、風力発電や波力発電、糞尿からメタンを取り出すといったバイオマスなど、自然エネルギーから電力を産み出す具体的な成功例・実験例を写していた。 そして、地元の人に日本の状況を話すと、原子力発電所が過密状態にあることを、馬鹿げたことだと、即刻自然エネルギーへの転換が必要だと言っていた。
後半は、祝島周辺の漁場が死んでしまうと建設に反対する住民の姿を映し、昨秋計測のためのブイを設置しようとする中電と漁民との戦いの姿を見せてくれていた。 27年間戦い続けてきたおばちゃん達の底抜けの明るさが見られたが、逆に彼ら彼女らの辛さやるせなさがひしひしと伝わって来るものであった。 この時は結局中国電力は、夜は工事をしないという住民との約束を反古にして、別の場所からブイを運んで来て夜陰に乗じて設置してしまっていた。 映画はこの3月まで写していた。
よく言われるように原子力発電は確かにCO2の排出は無いか、もしくは少ないかもしれない。 しかし、冷却水を海から取り、温まった水は海に捨てられる。 通常の海水温度との温度差は7?8度もあるとのことで、当然海域の生態系が狂わされてしまうのである。 日本列島のどの漁場へ行っても、漁師が水揚げが少なくなったと言う。 国内の50数基の原発が出す冷却水は、日本列島を包み込むように海水温度を上げているわけで、漁獲量の低下はそれに起因していると誰でも言える。 しかも海水温度の上昇は異常気象にも影響しているかもしれない。
上関原発は、田の浦や祝島といった限定された地域だけの問題ではない。 上関は瀬戸内海の一方の出入口に位置していると言ってもよく、大分の関アジ関サバや広島のカキ養殖、明石のタコ、そういった海産物の生息にも影響があるはずで、これは大変大きな問題だと思う。 そういった産地の人々がこの計画に対し十分な認識がないのでしょう周辺での動きはないようですが、、稼働すれば最後には瀬戸内海沿岸の漁師の生活にまで影響が出る、そう死活問題は瀬戸内海全体にわたるはずです。
もっともっと、原発反対の声を大きくしなければならない。
原発が安全などとは誰も言えない。 もんじゅも運転再開したというが事故後15年も対策工事が行われていたし、中国電力の島根原発では点検漏れが500件以上もあったという。 中電のケースでは担当部長が自殺までしている。 もっとも自殺なのか、口封じなのか、実際の所は分からない。 政府は原発にかかわる事故や点検漏れは軽微であるとよく言うが、原発の煙突や冷却水からは常に放射性廃棄物がチリという形で出ているわけで、微量とはいえ直接間接をとわず体内に堆積していけばガンなどの病気にかかりやすくなる。 原発はどう考えてもメリットはなく、埋設されるその廃棄物は地殻変動などでいつ地上に出てくるか分からず、とにもかくにも原発は子々孫々まで悔いを残す厄介な施設なのだ。
20年間原発の現場で働いてきたという故平井憲夫さんの訴えを読めば、どんなにか恐ろしい現場であるか分かると思います。 是非読まれると良いと思います。
○上掲ページを紹介している「自然の摂理から環境を考える」と当該ページ
映画に出てきた、エネルギー庁の役人や中国電力の職員達、また山口県の県知事ならびに県職員、そして上関町役場の町長や町議会議員には、原発に対し安全の確信を本当に持っているのであろうか? 否、そうではあるまい。 職務上、そう給料を貰うために、自分の生活を守るために、安全という確信がなくても、そう言わざるを得ないのであろうと誰でも内心ではわかっている。 そういう彼らが自分を犠牲にしても危険だという本来の認識に近づいてくれれば社会は大きく変わると思う。
我々の子々孫々まで悔いを残す原発には反対しよう。 以下の画像は、上関原発反対請願のための署名用紙。
今や世界的に見ても、石油など化石燃料や原発にたよる時代ではなくなっている。 風力、波力、地熱など自然エネルギーや再生可能エネルギーを利用することが大事で、そのためには一極集中的な電力会社の存在をやめ、誰でも発電して販売できるシステムを作る必要があろう。
そう、祝島の住民は電力を含め自立を目指しているのです。
会場で購入した祝島のヒジキ(現在通販でも店頭でもなかなか買えない)を早速家内は煮てくれた。 きめ細かくて実に美味しいヒジキなのである。
もうひとつ購入したのは、祝島のバッチ。 なんと祝島はハート型をしているそうです。 ハートというのは人間にとっても大事な臓器の一つである心臓ですよね。 祝島は瀬戸内海にとっても心臓に相当する大事な存在なのです。 そんな思いを強くしてくれたバッチでした。
映画を見終えてから監督の鎌仲さんのお話を聞くことができました。(24分程) 中国電力や政府など役人を敵として見るのではなく、原発を撤回し自然エネルギーに力点を置くような環境作りをしたいという姿勢に好感が持て、これから予定されている自主上映会が全国各地で開催され、監督のその思いが津々浦々まで届くことを願いたいと思います。
原発でもうひとつの問題は核兵器の製造です。 廃棄物の再処理や15年も休んでいたもんじゅを動かそうとする裏には、核兵器製造があるのです。 そこには三菱や東芝、日立(?)などの兵器産業の強い後押しがあるのでしょう。 だから核の平和利用などというのは決してありえないのです。 アメリカが北朝鮮に原発を作らせないのは、核兵器製造につながるからであると、誰でもが知っています。 核兵器廃絶と言いながらアメリカはもっと効率の良い核兵器を貯蔵しているそうです。
4月に中部電力の浜岡原発に併設されている原子力館(展示館)を訪ねました。 展望台から原発施設の外観が見えるのですが、何より驚いたのは地域住民の集落が目の前にあることです。 放射能漏れ事故があれば、住民は真っ先に被爆することでしょう。 浜岡原発は地質学的にも問題のある場所のようで、近くで地震が発生すれば当然崩壊の危険すらあるわけで、チェルノブイリと同じような被害に遭わないとは誰も断定できないわけです。 漏れた放射能は東京周辺にまでも飛んで来ると言われています。
浜岡のある地域では近くの海岸から採れるワカメであったか、特に常食する習慣があると、放射能汚染されたであろう海藻を食べて結果でしょう、ある特定のガンが他の地域より多く発症していると聞きました。
自然エネルギーを利用する技術をもっと開発するべきなのですが、原発と同じように危険な存在は軍事基地、とくに米軍基地の存在です。 米軍への思いやり予算、そして米国債の購入、これまでの金額を累計したら幾らになるでしょうか? 門外漢なので全く想像も出来ない数字ですが、たぶん何百兆円か何千兆円か、その数字は果てしないでしょうね。 冷戦時代ならいざ知らず、世界がかわりつつあるなかで、連綿と日本の安全を米軍に頼っているという認識は妄想でしかありません。 日本人はいいかげんに夢から醒めて現実を見るべきです。 会場で配られた「もうやめよう!日米安保」のチラシを掲載しました。
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