一昨日、横浜でダライ・ラマ法王による法話と講演会があり出かけて来た。
10時からの法話は「縁起賛と発菩提心」というタイトルで、20世紀は大きな経済発展があったものの戦争や殺戮の時代であったが、21世紀は平和を求める心の時代に変わりつつあると、仏教が説く「無我」の心が大事だという。 明解な論理を展開しているように思えたが、やはり事前の理解がない者には難しく、自我、無我、空、因果応報、それぞれ言葉の概念すら戸惑う有様であった。
昼食後は、チベット、韓国、モンゴル、日本の僧侶による声明が唱えられ、また楽器演奏もあったが、真言宗豊山(ぶざん)派の僧侶による読経は圧巻であった。 まず法螺貝の音を合図に読経がはじまり、後半は10台の大太鼓の連打とともに唱えられたのであった。
そして、最後には渡辺貞夫さんがサックスを抱えて出て来て、一般に馴染みのない曲を2曲演奏されていた。 この2つは、月並みな表現になってしまうが凄かった。
2時からの後半は、『幸せの本質』~共生と共存の未来へ向けて~ と題して、「共に生きる」ことの大切さを述べられていた。 平和で利他の心が、健康な体を育み、より良い家族関係、他者との信頼関係を作ることができる。 優しさや愛情が免疫力を高めてくれるという話しであった。 healthy mind , health body。
3時半からは質疑応答で、30分も延長し4時半まで真摯に答えられていた。 海外から来られた方がキリスト教も仏教も大事に思えるがという問いに、両方大事にしなさいという答え。 すっと飲み込めるような明解な答えに納得することが多かったが、こういう時は売名行為に近いような何を質しているのか分からない人が出て来る。 そんな人にも丁寧に応えていたが、同じ日本人としてやはり恥ずかしさを感じてしまう。
警備が厳しくカメラ撮影はダメだと聞いていたので、持っていかなかったのだが、報道関係者の撮影に混じって一般の人が随分と写真を撮っていた。 自分で法王が撮れなかったのが少し残念でしたが、法王の心に少しでも触れることが出来、豊かな心になれた一日であったと思う。 観客は若い人も年配の方も、外国の人も、韓国からは仏教会のメンバーであろう僧侶も信者も統一したユニフォームを来て多数来られていた。
終了して、昨年韓国巡礼で一緒に歩いた女性と偶然に会い、一時懐かしい時間を過ごすことができ、また夜には、別の会場で「チベットチベット」というドキュメンタリー映画を上映するというので、そちらにも出かけた。
その映画は、在日三世の金監督が、自分のルーツを考え、戦前戦後の日本人と朝鮮人の関係を、中国の圧政に苦しむチベット人民に見て、淡々と現代のチベットを伝えるものであった。 だいぶ昔に作られた映画のようだが、実に感じるものがあり良い映画であった。 在特会などといった短絡な発想をするのではなく、一人ひとりの歴史や過去に触れ、温かい気持ちならなければ、法王が説くような共生社会を築くことができないと感じた。 今日は本当に満ち足りた日であった。
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