今日19日は小林一茶の命日で、毎年一茶を顕彰する法要や俳句大会が行われている。 以前は、一茶記念館の講演会でよく俳句のお話を聞いていましたが、最近は全く訪ねていませんでした。 でも、今秋、文化勲章を受賞された有馬朗人さんが記念講演をされるというので、時間に間に合うように記念館へ出かけました。
有馬さんは80才というお歳にもかかわらず、元気で1時間立ちっぱなしで、パソコンを操作し理路整然としたお話をされていました。 私自身は俳句というものには全く門外漢で、俳句を詠もうとしてもなかなか的確な語句が思い浮かびません。 そんな人間ですが、有馬さんのお話は再び詠んでみようかなと気持ちを楽にさせてくれるものでした。
演題は、「俳句の庶民性と世界性」。 日本・中国・西欧における詩歌の違いを最初に説明され、西欧のは哲学や人生観、神、愛をテーマにするもので、日本のは自然との共存が中心のテーマであり、ワーズワースや李白・杜甫・王維、万葉集などを例に具体的な説明があった。 しかし、俳句は、農耕民族性・土俗性、大衆性・庶民性のあるもので、短い語句で誰でも覚えられるものだと話された。
そして、小林一茶の句を、農の心や心の優しさ、家庭愛、自分を見つめる心(自虐性)、故郷愛、笑い(皮肉、風刺)、抒情と分類され具体的に説明されていた。 そういった扱いやすい俳句が海外にもたらされ、中国の漢俳、欧米のハイクへと転化され、三・五・三や三・四・五という語句で詠まれるようになった由。 外国語で詠むハイクが、マブソン青眼さんやアーサー・ビナードさんのように日本語で詠む外国人が、さらに日本人でも英語で詠む人が増えてきたとのこと。
最後には、アニミズムというタイトルで、原始宗教的感覚でしょうか、自然界の万物を大切にしようとする自然と人間の共生、人間は本能的に自然を愛するもので、そこに異文化への相互理解や寛容な精神を育ててくれることができ、そこに平和を生み出す原資があるのではないかと結論されていた。 俳句が世界平和をもたらしてくれるものだという、しかもそれが出来るのは東アジア人だという有馬さんの主張には納得できるものがあり、今、信濃町で戦われている町長選でもこの思考がどこかにあっても良いのではと思いました。
有馬さんの講演は大変歯切れの良いもので冗談も多く、終わって司会や教育委員会の方が挨拶される間、席を立つなど礼儀正しく、人格の一面を見た思いがしました。 帰宅してウイキペディアで有馬さんが文部大臣になった経緯などを調べてみましたが、何か本人の意思とは違った場面で担ぎ出され政治の舞台に一時おられた由。 今日の印象をふまえ、過去のそういう事情が納得できるものでした。
英語ハイク - 国際俳句交流協会
記念講演会のあとは、楽しみにしていた恒例の新そば会。 例年の新そばとはちょっと味や香りが違うかなと感じました。 下の紅葉写真は記念館のある小丸山公園で撮りました。
0 件のコメント:
コメントを投稿