(追記:2011/08/28)
講演会場での写真撮影は禁止であったとコメントを頂きました。 ご指摘を受け遅まきながら掲載した写真を削除しました。(追記了)
上信越道・須坂インター近くにある浄運寺で、毎年8月に行われている文化講座・無明塾へ出かけた。
今回が38回目だとか、駐車場などで混雑するといけないと、13時半受付の1時間前に到着したが、参加者は1時頃から三々五々集まりだし、1時20分受付を済ませて本堂に適宜座り込んだ。 今日の講演者らは次の通り。
- 窪島誠一郎 「人との出会い、人との分かれ」
- 秋山 駿 「忠臣蔵の謎」
- 加賀乙彦 「人が人を裁くということ」
- 天満 敦子 ヴァイオリンミニコンサート
窪島さんの話は非常に軽妙で、眼がきらきらしていて引きこまれる感じであった。 30数分の中では十分に話し尽くせなかったと思うが、「死を考えることは、よりよく生きることにつながる」という言葉には感じるものがあった。 岡部伊都子さんや小川国夫さんなど今年鬼畜に入られた方々を思いだされてもいた。 最後は上田・塩田平にある無言館の第二展示館が来月20日に完成し、当日は子供達だけを呼ぶ開所式を行う由。 21日から収蔵している全作品の公開を行い、本日最後に演奏された天満敦子さんが28日に演奏会を催すと話されていた。
秋山さんは、忠臣蔵の裏には政略的な動きがあったと、柳沢吉保の存在など非常に興味深い話であった。 そして現代があの時代と非常に似通った世相を見せているとも仰っていた。 今後20数年先の行方を判断する一つの手がかりになりそうな話題でもあった。
加賀さんは、もともと精神科医で拘置所の死刑囚などのカウンセリングを行ってきた経歴があり、そういう体験を元に人間(人格)の根源を探る作品を書かれている。 テーマの重さから生真面目な人物かと思いきや、信濃追分にある山小屋(ご本人の謙遜であろう)生活の中で熊やイノシシに出会うのではないかという所から話は始まっていた。 死刑囚・正田昭との文通などを話される中で、法律や科学で計り知れない部分が人間にはあるとも仰っていた。 50分ほどの待ち時間では、ご本人が満足できるタイトルに見合った話は出来なかったように感じた。 講演後に著作の「永遠の都」(単行本サイズで7分冊)を購入しサインをしていただいた。
ヴァイオリニストの天満敦子さんのお名前だけは知っていたが、今回40分ほど彼女の演奏を聞いて、非常に力強く心に染みる演奏だと思った。 「望郷のバラード」も聴くことが出来て幸運だっった。 幼いと云っては失礼だが、可愛い声で話される言葉もそこかしこにいる普通の女性のようで、大変親しみが持てた。
さて、この無明塾へ出かけたのは、先日の信濃毎日新聞で窪島誠一郎さんの「父子墓を買う」というコラムを見たのがきっかけであったが、これには色々な方々の「縁」のおかげであった。
少し遡るが、一昨年我々夫婦がスペインの巡礼路を歩いている時にお会いした初老の日本人男性が、今春日本へ里帰りをされる機会に「良寛の里」を訪ねたいとメールを送って来られた。 そこで調べたら、良寛さんは出雲崎を中心に生活をされていたと、黒姫からは比較的近い所なので、雪の季節のため黒姫の我が家に来ていただければと車でご案内しますと返信していた。
そんなことで良寛の里を訪ね歩き、資料館などで良寛さんの文献を見るうちに作家の中野孝次さんに出会い、彼の著作を読むうちに黒姫に近い飯山市に来られたとか、須坂で講演をされていたと、またご自分の死後の身仕舞として須坂に墓所を設けられたと知った。 そこで、黒姫に近い須坂の浄運寺へ一度はお参りに行かなければいけないと思いつつもなかなかできず、前段の窪島さんの新聞記事が縁で浄運寺を訪ねて、今回の無明塾への出席につながったのであった。
中野孝次さんの話がもう聞けないのは残念だが、こんなに意義深く楽しいお話なら、毎年無明塾に参加するのを我々の年中行事にしようと思っている。 しかし、チラシには「若人歓迎 考えよう-私の人生」とサブタイトルが付されていた。 出席者の殆どは自分を含め50歳代以上の面々。 次代の日本を作る20歳代や30歳代の若者がいなかったのが非常に残念であった。
今日の暦から : 少しの昼寝で頭もスッキリ
(追記)信毎のサイトを見ていたら、去る21日に無明塾開催の記事が掲載されていた。
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須坂の浄運寺で31日「無明塾」
須坂市井上の浄運寺は31日、恒例の文化講座「無明塾」を開催する。今回は初めて作家の加賀乙彦さんを招くほか、文芸評論家の秋山駿さん、信濃デッサン館・無言館(上田市)館主の窪島誠一郎さんが講師を務める。バイオリニスト天満敦子さんのミニコンサートもある。無明塾は1986年に始まり、今回で38回目。午後2時から。参加費1500円で、事前申し込み不要。問い合わせは浄運寺(電話026・245・0766)へ。
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